そもそもコンドロイチン硫酸は軟骨に多く含まれる成分で関節のクッション材としての役割を果たす。軟骨だけでなく、関節、靭帯、皮膚、血管、眼球、角膜、粘液等の多くの部分に存在している。
さらに注目すべきはコンドロイチンの組成である。コンドロイチン硫酸は「2糖ユニット」といわれる状態で構成され、硫酸基の位置や数によってA〜Eに分類される。
しかし、ヒトと豚のコンドロイチンユニットは同じ「A,C」から成り立ち、サメやイカなどの魚介類のコンドロイチンは「C,D」または「E」などユニット構成がヒトとは異なることまでわかってきている。
医薬品として使用されていた
また、加齢とともにコンドロイチン硫酸は誰でも減少するが、その中でも「A」と呼ばれるユニットのコンドロイチン硫酸の減少が著しいことも解明されている。
豚由来のコンドロイチンはその組成がヒトと同じだけでなく、「A」ユニットが多く含まれているため、このような側面からも豚由来のコンドロイチンに注目が集まっている。
そもそも豚由来コンドロイチン硫酸は医薬品として使用されていたため、健康食品素材として原料を確保することが難しいとされていた。
しかし、日本ハムでは独自の原料供給ルートを確立し、安定供給が可能にしたという。
機能性表示食品として受理
また、豚由来コンドロイチン硫酸はそもそも医薬品だったため健常者を対象にした臨床データが取得できなかったが、この点についても自社で健常者を対象とした臨床データを取得済。
さらに最終製品での分析法も独自に立ち上げたことで、2021年3月に研究レビューでの機能性表示食品として受理された。
ヒト試験については、42歳〜65歳の膝に軽い違和感のある男女に対し350 mg/日(コンドロイチン硫酸)を3ヶ月間摂取してもらった。その結果、階段の昇降、正座時の違和感が有意に改善した。
ちなみに食品では摂取目安量が350 mg/日(コンドロイチン硫酸)であるが、医薬品は1560mg/日となっており、摂取量が少ない。
そのためハードルが低いということが「医者に行くほどでもない」「医薬品を取り入れるほどでもない」という健常者、あるいは軽度な違和感への軽減に最適なのではないかという。
「原料の供給」についても問題ない
ちなみに最終製品名は「P-コンドロイチンNHZ」で、コンドロイチン硫酸配合量は全体の65〜85%、摂取目安料は616mg/日(コンドロイチン硫酸としては350 mg/日)、表示例は「豚軟骨抽出物」とできるという。
研究レビューでの機能性表示を取得しているため、他の機能性成分とのWクレームなども可能、また臭いが少なく溶解性が良好でさまざまな食品に対応できるというメリットもある。
もちろんコンドロイチンとして最も懸念されている「原料の供給」についても問題ない。また価格も、サメ由来と豚由来で大きな差もないという。
高齢社会と膝関節の問題は切り離すことができない。マンネリ化しているとされるコンドロイチン市場だが、新たな切り口での商品提案は社会ニーズにも応えられるものになるのではないか、と話した。
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