リンゴポリフェノール、糖質吸収や肌の老化防止〜食品開発展オンラインセミナー

2021年7月26日〜8月6日、Web配信にて「食品開発展オンラインセミナー」が開催された。この中からユニテックフーズ鰍フ講演「リンゴポリフェノールの特徴と最新ヒト臨床試験のご紹介」を取り上げる。


健康にいいフルーツ調査、84.8%が「リンゴ」

同社では、リンゴなどのフルーツ素材を多く取り扱う企業として、日常生活でのフルーツ摂取量について25〜45歳の女性316人に対し「フルーツの摂取量」をアンケート調査した。

その結果、「不足していると思う」と答えた人が全体の35% 以上、「やや少ない」と答えた人が45%以上で、全体の80%が日頃のフルーツの摂取量を不足していると感じていることが明らかになった。

一方、多くの日本人は「毎日フルーツを食べた方がいい」という意識を持っていることも明らかになった。

「どのフルーツが健康にいいと思うか」という質問には、84.8%の人が「リンゴ」を選び、イチゴを抑え、リンゴに良いイメージを持っている人が多いこともわかった。

実際に、「1日に1個のリンゴは医者を遠ざける」という諺があるようにリンゴは古来より人々に食されている。

学術論文でも「がんに対する予防効果(フィンランド)」「動脈硬化予防作用(日本)」「腸内細菌改善効果(日本)」など、いくつもの健康効果が研究報告されている。

400種類以上の豊富な栄養素が含有

リンゴには400種類以上の豊富な栄養素が含まれている。食物繊維は17%、リンゴ酸は4%、抗酸化物質も2%程度含まれている。

またリンゴの抗酸化成分はその2/3が「皮」に含まれており、皮には他にもビタミンCやビタミンEが含まれている。しかし、皮の部分は破棄されることが多い。

近年、パレオダイエットが流行しているが、このダイエット法ではホールフード(全体のまま、生きている状態のまま食べよう)の考え方が提唱されている。

白米より玄米、小麦粉より全粒粉というように全体を丸ごと食べようという考え方だ。これは日本発の「マクロビオティック」の考え方とも一致している。当然りんごもホールで食べた方が効果的であることが推測される。

リンゴの皮や種から抽出したポリフェノール

そこでリンゴの産地として有名なブルターニュ地方にあるDiana Food社は、リンゴの皮や種から抽出したポリフェノール「アップリン」を開発した。

ブルターニュ地方は紫外線が強いため、生産されるリンゴに含まれるポリフェノール含有量が非常に高く、中でもフロリジンという成分を5%以上含んでいるものが原料のリンゴとなっている。

そもそもフランス産のリンゴは酸味・苦味が強く原種に近いリンゴで、アップリンに使用するリンゴもリンゴのお酒「シードル」に用いられる小粒で厳守に近い。

さらにアップリンには種に含まれる成分も余すことなく用いられているため、これにより多様な栄養成分を摂取できるという。

日本ではリンゴは皮も種も破棄することが多いが、このような製品を活用することで、普段摂取しにくい成分を効率的に取り入れることができるのではないか。

具体的にアップリンに含まれる成分については、例えば「プロシアニジン類」には抗酸化・糖脂肪吸収抑制、「カテキン」には血圧上昇抑制・抗酸化作用、「クロロゲン酸」には脂肪燃焼効果・血糖値上昇抑制効果がある。

また、「ルチン」には血流改善、「ヒペロシド」には抗うつ・抗不安作用、「アビクラリン」には脂肪酸合成酵素阻害作用、「フロリジン」には糖質吸収抑制作用、「ケルセチン」には抗酸化作用などがある。

フロリジン、高い糖質吸収抑制作用

アップリンには豊富な種類のポリフェノール類が含まれているが、中でもアップリンに5%以上含まれているフロリジンには高い糖質吸収抑制作用が確認されている。

そもそも1835年に発見されたフロリジンは1970年には動物試験で血糖を下げる研究用試験薬として用いられるようになり、現在血糖改善に使用される「SGLT2阻害薬」はすべてフロリジンの誘導体であるという。

このフロリジンが含まれるアップリンによるヒト臨床試験について、18〜68歳の健康な男女にアップリンを溶かした飲料を食事前に摂取してもらう二重盲検試験を行なった。

その結果、アップリン摂取群において血漿中グルコースを有意に低下させたことが確認できた。

さらに食後30分までのインスリン濃度も有意に低下。血中ポリフェノールについてもアップリン摂取群において血中ポリフェノール類の濃度が上がっていることも確認できた。

血糖値上昇抑制作用素材は他にもギムネマ、桑葉、サラシア、バナバなどがあるが、これらの多くが二糖類から単糖類への分解を阻害する作用を持つのに対し、アップリンだけは小腸から血中への当の輸送を阻害するという違いもあるという。

肌の老化防止や脂肪燃焼も期待

現在、高齢化社会を迎えている日本において60代以降の男女20%以上に糖尿病の疑いがあるとされるが、高齢者にもアップリンは有効である。

特に高齢者に人気の健康食品である青汁などに混ぜて製品化することも可能ではないか。

他にもアップリンには肌の老化防止作用や、脂肪燃焼作用も期待できるため、トータル美容サポート素材として若い世代にも訴求できる。

アップリンは熱安定性、UV安定性などにも優れ、加工耐性が高いため、さまざまな健康食品に応用してほしいとまとめた。


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