食品偽装や農薬問題、食糧自給率の低下など問題が山積〜市民公開講座「寺子屋の論客が斬る、現代の食」

「食材の寺子屋」3周年を記念した市民公開講座「寺子屋の論客が斬る、現代の食」が、2008年3月28日(金)、東京・レインボー会館で開催された(主催:NPO法人良い食材を伝える会「食材の寺子屋」、共催:東京農業大学総合研究所食育研究部会)。300名を超す聴衆を前に、各界を代表する論客が、日本の食をとりまく現状や課題などについて鋭く斬った。


食育から食品偽装、ミシュラン騒動、メタボリックシンドロームまで、専門家がそれぞれの立場から意見を披露

パネリストは、秋岡榮子氏(経済キャスター)、服部幸應氏(医学博士・東京農業大学客員教授・NPO法人「良い食材を伝える会」理事)、深澤晴彦氏(キッコーマン株式会社海外事業部グループ長)、本多京子氏(医学博士・管理栄養士) の4氏。

大人にこそ食育が必要

現在の日本人の食については、各氏が食と農が混沌としている現状を危惧。生活の中で、食べることのウェイトが下がってしまったこと、食べ物に思いやりがなくなってしまったこと、いつでも何でも手に入る現代は、食に対するワクワク感すらなくなってしまった、空腹感を満たす感激がなくなった、などの意見が相次いだ。小学校などでの講演が多いパネリストは、子供の就寝時間が欧米などに比べて極端に遅いことをとりあげ、「早寝早起き朝ご飯運動」をめざした生活習慣(しつけ)の指導が必要であると強調した。食育は、子供にとって大事であるが、その前に大人にこそ必要ではないかということでパネリストの意見がそろった。

企業は人の命を預かっている意識を

食の安全については、相次ぐ偽装や農薬問題について、日本の食糧自給率の現状とグローバル化(食糧輸入)、低価格商品の信頼性などに話が及んだ。消費者は知識や判断力がないのだから、人の口に入れるものは安全であるべき、企業は人の命を預かっているという意識をもってほしいなどの意見が出た。 また、この4月からスタートする特定健康診査・特定保健指導に関連して、超高齢社会における健康寿命、食と健康にも意見が相次いだ。


ヘルシーメニューで国際貢献

また、「テーブル・フォー・トゥー」運動が、日本発の国際貢献活動として紹介された。世界経済フォーラム(ダボス会議)で日本が提案して昨年スタートしたが、ヘルシーメニューを食べて開発途上国の子供たちに学校給食を贈ろうという運動である。
ヘルシーメニューの代金に、寄付金として学校給食1食分に相当する20円を上乗せしており、これが世界食糧計画(WFP)などを通じて届けられるというもの。「テーブル・フォー・トゥー」(2人の食卓)という運動には、1回の食事を途上国の子供と分かち合うという考えがこめられている。健康づくりと国際貢献を結びつけたところに、新しい発想がうかがえる。
NPO法人良い食材を伝える会としては、今年度の年間テーマ「食のちから」のもと、今後も食をとりまく講座を積極的に展開していきたいとしている。


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