オリーブ果実のマスリン酸、筋力のフレイル予防 〜食品開発展2021セミナー

2021年10月6日(水)〜8日(金)、東京ビッグサイトにおいて「食品開発展2021」が開催された。同展示会セミナーより、潟jップンの講演「フレイル予防、機能性表示対応オリーブ果実マスリン酸で筋力サポート」を取り上げる。


「関節」と「筋肉」の両方に有用

マスリン酸とは動植物に幅広く存在する脂溶性成分の一つで、トリテルペンと呼ばれる天然物質である。抗炎症や抗酸化作用で、微生物などから果実を守ることが報告されている。

マスリン酸はオリーブ果実に豊富に含まれるが、これに着目して研究したところ、「関節」と「筋肉」の両方に有用なことが分かった。

さらに近年は「疲労感」の改善にも有用なことも明らかになり、超高齢化社会を迎えた日本の最重要課題である「フレイル予防」に最適な素材の1つになるのではないかという。

関節と筋肉は加齢により機能が低下する。運動に加えタンパク質を含む良質な食事を摂取し続けなければ筋肉は減少する一方だが、高齢者は運動をすることで関節に負荷がかり、痛みが生じる。

さらに痛みがきっかけとなり運動の機会を失なってしまう。するとますます筋肉量も運動量も減り、関節痛が増すという悪循環に陥る。

筋肉量は40代から急激に低下

これらが進行していく一連の過程も一種のフレイルと言えるが、痛みを堪えて運動を続けたり、食事からタンパク質を摂取し続けたり、プロテインを摂取することは、高齢者にとってベストソリューションとは言えない。

これまで関節痛を和らげる成分は多く報告されているが、マスリン酸は関節痛を和らげる働きと筋肉量を増加させる両方の働きを合わせ持つため、高齢者にとって有効な選択肢の一つとなり得る。

関節痛は加齢に伴う摩耗や、スポーツなどの酷使によって炎症が起こることがきっかけで、やがて慢性的な関節症に進行していく。

マスリン酸を用いた臨床試験では、65歳以上の高齢者においてもマスリン酸を1日60mg、4ヶ月を摂取することで、痛みのスコアが有意に低下することが報告されている。



また、筋肉量は40代から急激に低下することがわかっているが、65歳以上の高齢者において週1回90分の筋力トレーニングとマスリン酸を毎日60mg3ヶ月摂取で、運動のみをした群と比較して筋肉量が有意に増加することも確認されているという。

関節痛の軽減と筋肉量の増加

関節痛の軽減と筋肉量の増加が同時に叶うことで、運動習慣の維持や、パフォーマンスの向上に役立ち、まさにうってつけの成分といえる。

コロナ禍で若い世代でも健康不安や運動不足の問題を抱えている人が増えている。

これから運動習慣を取り入れたい人、関節痛を予防したい人、筋肉量をアップしたい人にマスリン酸はおすすめで、ドーピング物質にも指定されていないため本格的なアスリートにもおすすめである。

特にマスリン酸は運動との併用で筋肉量が向上するだけでなく、プロテインとの相性も良く、さらなる相乗効果が期待できる。

機能性表示食品としても受理

マスリン酸そのものには若干の風味があるがマスキングできる程度で、非常に使いやすい。

そのためサプリメントだけでなく、キャンディやグミ、ゼリーといった携帯でも手軽に補給でき、幅広い世代に受け入れてもらえる成分の一つになるという。

マスリン酸はすでに機能性表示食品としても受理されている。

表示記載は「本品にはマスリン酸が含まれます。マスリン酸は筋肉に軽い負荷がかかる日常的な運動と併用することで、加齢によって衰える筋肉量を維持する機能があることが報告されています」というもの。

これからの展開がますます期待される素材ではないか、とまとめた。



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