黒大豆ポリフェノール、クロノケアの機能性 〜食品開発展2021セミナー

2021年10月6日(水)〜8日(金)、東京ビッグサイトにおいて「食品開発展2021」が開催された。同展示会セミナーより、フジッコ鰍フ講演「黒大豆ポリフェノール「クロノケア」の新規機能性」を取り上げる。


黒大豆種皮からポリフェノール成分を抽出

フジッコ鰍ヘ、古くから漢方や民間療法で人気の伝統的食材「黒大豆」を原料とした機能性素材を開発。日本でお節料理で必ず使用される黒大豆は、古来から薬用として重宝されてきた。

黒大豆は黄大豆と違い、黒い種皮に特殊な栄養成分があるとされ、フジッコでも半世紀以上黒大豆の機能性について研究を重ねてきた。

そして機能性表示食品のニーズが高まる中で、黒大豆種皮からポリフェノール成分を抽出することに成功。そこで誕生したのがクロノケアである。

黒大豆の種皮から抽出されるクロノケアには黒大豆ポリフェノールが58%、他にもエピカテキンやC3Gといった有効成分も豊富に含まれているという。

生体内への吸収性が高い

黒大豆ポリフェノールの正体はプロアントシアニジンで、プロアントシアニジンはフラバノール骨格をもつ縮合型タンニンである。

強力な抗酸化物質としてもよく知られるが、黒大豆のプロアントシアニジンは特に生体内への吸収性が高いことが分かっている。

実際に、ブドウ種子エキスやブルーベリーエキス、松樹皮エキスと比較しても高酸化力の値を示すORAC値は黒大豆種皮が一位。

体内への吸収率だけでなく生体内での抗酸化性も非常に高いことが確認されている。

また、経口だけでなく経皮からも高く吸収されるのが大きな特徴で、化粧品にも応用できるため、内外美容に活用できる。

「眠気」や「目の疲れ」が改善

他にもクロノケアには血流、脂質代謝、糖尿病、肝機能や脳機能などへの様々な作用が報告されている。

セミナーでは、機能性表示食品の届け出が受理された「疲労感軽減」「血管内皮機能改善」について解説を行った。

長引くコロナの影響で「滋養強壮」を表示する商品の人気が非常に高くなっている。特に20代から30代の女性70%は疲労感や眼精疲労を訴えているという報道もある。

女性や若い世代をターゲットにした場合は「滋養強壮」よりややマイルドな「抗疲労」の方にニーズがあると推測される。



基本的に疲労とは体内で発生する活性酸素が原因で感じられるものであり、これまではビタミンやカフェインなどによる対処が一般的であった。

しかしそれらはほぼ一時的なもので、さらにカフェインは中毒性や不眠の問題も懸念された。

クロノケアはそれらとは違うメカニズムで疲労緩和にアプローチすることがわかってきた。

20歳〜65歳の24名の男女を対象に1日100mg/4週間の接種試験をプラセボ対照クロスオーバー比較試験で行った。

その結果、疲労感については接種群の方が有意に低下すること明らかになった。

他にも「眠気」や「目の疲れ」の改善が報告されただけでなく、認知機能についてもプラセボ群は低下傾向になった。

交感神経の活性を抑制

また自律神経について測定を行ったところ、副交感神経が優位な状態で維持されたことが確認された。

これらの結果から、クロノケアの摂取によって、疲れの原因である活性酸素が抗酸化作用によって除去されたことが分かった。

さらに、酸化ストレスによって上昇する交感神経の活性を抑制することで、副交感神経が優位になり疲労が改善されることが示唆された。

血管内皮機能改善作用については、健康な男女24名を対象にクロノケアの摂取試験を行い、加速度脈波を評価した(プラセボ比較クロスオーバー試験とランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験)。

その結果、血管年齢については接種群の方が有意に低下し、摂取90秒後の血流量が有意に改善、血管の拡張効果が確認できたという。

機能性届出表示が受理

これについてはクロノケアの摂取により、酸化ストレスが減少しNO(一酸化窒素)の生産機能が上昇したことで、血管内皮機能が改善されたことが示唆された。

これらの2つの機能性は機能性届出表示が受理されており、11月に商品がリリースされる予定である

黒大豆には健康的なイメージだけでなく縁起物というイメージなどもある。黒豆茶などはすでに人気が高くなじみの素材でもあるため新規の機能性についても知ってほしいと話した。


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