大東月桃、精油から食品まで多彩に応用
〜健康博覧会2022セミナー


2022年2月8日〜10日、東京ビッグサイトにて「第40回健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、(一社)北大東島振興機構の講演「大東月桃の精油、月桃水のご紹介」を取り上げる。


沖縄県の最東端、北大東島に自生

沖縄の代表的な植物の一つに「月桃」があるが、ここでは沖縄本島の月桃とは違う「大東月桃」を紹介。

大東月桃とは沖縄県の最東端にある北大東島に自生する月桃で、沖縄本島には自生しない特有の月桃である。

北大東島は沖縄諸島の東にある大東諸島(だいとうしょとう)の中にあり、大東諸島は北大東島、南大東島、大東島から成る。

約100万年〜20万年前に、珊瑚礁の数回にわたる隆起によって形成され、それぞれの島には洞窟(鍾乳洞)が多くある。

地質学的に大陸や日本列島と一度も繋がったことがないことから、独自の進化を遂げた多くの動植物が今も成育している。

その大東諸島の植物の中で、太陽の光をたっぷり浴びて育ったのが大東月桃。ちなみに北大東島は明治時代に開拓団が入植するまで無人島であった。

台風対策の防風林としても活用

現在、北大東島へは1日1便那覇から飛行機が出ていて(片道50分)、船であれば1週間に1便ペースで那覇から13時間かけて行くことができる。

沖縄の他の離島と異なり断崖絶壁のため砂浜やビーチはなく、周囲13.5キロの小さな島に現在は約290世帯、600名程度の人が住んでいる。

開拓当初は燐光採掘が産業になっていたが、近年はサトウキビの他、えびすかぼちゃやジャガイモも収穫でき、また魚介類はキハダマグロやさわら、そしてアワビやヒラメの養殖も盛んである。

別名「タイリン月桃」とも呼ばれる大東月桃は、成長すると4〜6mにも背丈が伸びるのが最大の特徴で、根もしっかり張り暴風雨にとても強く、昔から島の人たちの台風対策の防風林としても活用されてきた。

殺菌力が強いテルピネンー4オールを多く含む

この大東月桃は、近年東京大学農学部出身の博士たちによって研究され、北大東島、南大東島、八丈島、小笠原諸島にある月桃と同じ遺伝子を持つことなどがわかってきている。

他にも沖縄本島との月桃と違い「種ができない」「花の色のピンクが強い」「花の形が大きく長い」「抽出した精油の香りがさわやかで他の精油との相性も良い」「殺菌力が強いテルピネンー4オール、と呼ばれる本島の月桃にはほとんど含まれていない成分が多く含まれている」といった特徴がある。



これらの特徴を活かし、雑種の混じらない安定した品質の原料を供給するために「大東月桃」としてブランド化し製品化をスタートさせた。

天然の防腐効果

現在大東月桃からは1次原料として精油、芳香蒸留水、各種エキス、食品用原料が生産され、2次加工品として化粧品、雑貨、食品などの製造が行われている。

大東月桃の葉から採れるエキス(ゲットウ葉水=フローラルウォーター)は、大東月桃の葉の部分を水蒸気蒸留して抽出される蒸留液で、1.8シネオールやテルピネンー4オールが豊富に含まれる。

1.8シネオールには抗菌作用・抗ウイルス作用・去痰作用などがあり、鼻や喉などの呼吸器系のトラブルや花粉の症状を緩和する作用があることが報告されている。

またテルピネンー4オールにも強い抗菌作用・抗真菌作用・抗ウイルス作用・鎮静作用などが報告されている。

そのため、抽出されたフローラルウォーターには添加物を加えなくても天然の防腐効果で品質を保つことができ、子どもからお年寄りまで安心して使用できる。

刺激臭がなく、爽やかな香り

また月桃エキスにはエモリエント効果、コラーゲン生成促進効果なども期待されており、それらの研究も少しずつ進められている。

さらに精油の方は抗菌作用や抗ウイルス作用に加え、鬱滞除去作用や血行促進作用もあり、肩こりや筋肉痛の緩和にも有効。

しかも他の月桃にある独特の刺激臭が大東月桃にはほとんどなく、爽やかな香りは男女問わず魅了される人が多い。

大東月桃は機能性も素晴らしいが、やはり最大の魅力は香りにあるため、アロマを体感してもらい多くの人に利用してもらえたら嬉しいと話した。


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