沖縄県の最東端、北大東島に自生
沖縄の代表的な植物の一つに「月桃」があるが、ここでは沖縄本島の月桃とは違う「大東月桃」を紹介。
大東月桃とは沖縄県の最東端にある北大東島に自生する月桃で、沖縄本島には自生しない特有の月桃である。
北大東島は沖縄諸島の東にある大東諸島(だいとうしょとう)の中にあり、大東諸島は北大東島、南大東島、大東島から成る。
約100万年〜20万年前に、珊瑚礁の数回にわたる隆起によって形成され、それぞれの島には洞窟(鍾乳洞)が多くある。
地質学的に大陸や日本列島と一度も繋がったことがないことから、独自の進化を遂げた多くの動植物が今も成育している。
その大東諸島の植物の中で、太陽の光をたっぷり浴びて育ったのが大東月桃。ちなみに北大東島は明治時代に開拓団が入植するまで無人島であった。
台風対策の防風林としても活用
現在、北大東島へは1日1便那覇から飛行機が出ていて(片道50分)、船であれば1週間に1便ペースで那覇から13時間かけて行くことができる。
沖縄の他の離島と異なり断崖絶壁のため砂浜やビーチはなく、周囲13.5キロの小さな島に現在は約290世帯、600名程度の人が住んでいる。
開拓当初は燐光採掘が産業になっていたが、近年はサトウキビの他、えびすかぼちゃやジャガイモも収穫でき、また魚介類はキハダマグロやさわら、そしてアワビやヒラメの養殖も盛んである。
別名「タイリン月桃」とも呼ばれる大東月桃は、成長すると4〜6mにも背丈が伸びるのが最大の特徴で、根もしっかり張り暴風雨にとても強く、昔から島の人たちの台風対策の防風林としても活用されてきた。
殺菌力が強いテルピネンー4オールを多く含む
この大東月桃は、近年東京大学農学部出身の博士たちによって研究され、北大東島、南大東島、八丈島、小笠原諸島にある月桃と同じ遺伝子を持つことなどがわかってきている。
他にも沖縄本島との月桃と違い「種ができない」「花の色のピンクが強い」「花の形が大きく長い」「抽出した精油の香りがさわやかで他の精油との相性も良い」「殺菌力が強いテルピネンー4オール、と呼ばれる本島の月桃にはほとんど含まれていない成分が多く含まれている」といった特徴がある。
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