また紅茶ポリフェノールの機能性である血糖値上昇抑制、脂肪代謝改善作用などが強まるかをスクリーニング調査した。その結果、びわとの揉捻が最も高い活性であることが確認できた。
長崎県は、びわの生産量日本一を誇る。ただし、びわの果実はサイズが小さく産業化が難しい。そのため、選定されてほとんど活用されることのないびわの葉に着目した、と上田氏。
最終的には長崎県立大学、長崎大学、九州大学、長崎農林技術開発センターなどが連携し、びわの葉と緑茶茶葉を蒸さずに揉捻する製造技術を確立させ、「高機能発酵茶びわ葉混合発酵茶」が完成したという。
動物試験やヒト試験で確認
緑茶カテキンにも血糖値上昇抑制や脂質代謝作用が確認できているが、実は紅茶ポリフェノールの方がその作用は高い。
びわ葉混合発酵茶でも、動物試験とヒト試験で高い血糖値上昇抑制や脂質代謝が確認できている。
作用メカニズムは、カテキンがポリフェノールオキシターゼ活性によって変化して生まれたテアフラビン、テアシネンシン類、カテキン重合ポリフェノールなどが小腸で血糖値上昇に関するα-グルコシダーゼ活性を阻害するためである。
みかん混合発酵茶の開発に着手
同じような着目点から平成26年よりみかん混合発酵茶の開発にも着手。みかんの中でも特に破棄されがちな未成熟な青みかん果実にはヘスペリジンが多く含まれる。ヘスペリジンには血管強化・血圧低下・脂質濃度低減・血流改善などの機能性が確認されている。
ただし、ヘスペリジンは水に溶けにくく、小腸からの吸収が低いため体内では十分に機能しないことが課題であった。
しかし、ヘスペリジンと茶葉を混ぜて揉捻発酵させることでヘスペリジンが可溶化することを確認。みかん混合発酵茶を用いたヒト臨床試験では血圧降下作用、冷えや肩こりの解消、疲労感の低減、睡眠の質の解消などが確認できている。
現在、機能性表示取得の準備も進めている。地方からの新たな産業創出、破棄される農産資源の有効活用、価格の安い三番茶の有効活用など、期待値の高い混合発酵茶に注目してほしいとまとめた。
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