「体内発酵」に着目すべき
腸内環境に関する研究データや知見、エビデンス、一般の人たちへの認知はここ数年広がり、市場も確立されている。
腸内環境改善をテーマに次世代の食品を開発するのであれば「体内発酵」にまで着目すべきであろう。
発酵食品、野菜、果物、プロバイオティクスやプレバイオティクスなど、腸に良いとされる食品はほぼ出揃っているが、その効果には「個人差」があることも知られている。腸内に存在する腸内細菌叢に個人差があるためだ。
口から入って小腸を通り大腸に送られた食品成分は、大腸内に多く存在する腸内細菌と結合する。この結合によって発酵が起こる。
さらに発酵によってさまざまな物質が作られる。この体内発酵によってどのような物質が作られるかはまさに腸内細菌の個人差により異なる。
しかし、体内発酵によって作られる代謝物質が体に大きな影響を与えることに間違いない。例えば、食物繊維や植物性ポリフェノールが体内代謝されると、短鎖脂肪酸やトリチメルアミンなどに代謝される。
大腸は「発酵タンク」
人間の大腸はまさに「発酵タンク」と呼べるもので、腸にはさまざまな菌が棲んでいる。
どのような物質が体内発酵によって作られているのかを知ることが、腸の研究の最先端となっている。
ちなみに微生物が人間にとって有益な有機物を生成すると発酵となるが、害を及ぼす有機物を生成する場合は腐敗となる。
体に健康効果をもたらす有益な代謝物質の一例として短鎖脂肪酸・SCFA・酢酸・プロピオン酸・酪酸などがある。
これらの代謝物質は血液に乗って全身に運ばれ、全身に良い効果を及ぼす。
短鎖脂肪酸はオリゴ糖を食べるとビフィズス菌などにより体内発酵して作られる。
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