ケストース、皮膚免疫への機能性
〜ifia JAPAN2022セミナー


2022年5月18日(水)〜20日(金)、東京ビッグサイトにて「ifia JAPAN 2022」が開催された。同展示会セミナーより、Samyang Corporationの講演「ケストースの機能性、皮膚免疫力改善効果について」を取り上げる。


アトピー性皮膚炎、腸内環境と関連

腸内環境とさまざまな疾病が関係していることは一般にもよく知られるようになり、特に免疫系の疾患と腸内環境の関係が次々に明らかになり注目が集まっている。

日本人において年代を問わずに増加している疾患の一つに「アトピー性皮膚炎」があるが、現在国内には約45万人以上のアトピー患者が報告されており、社会問題ともいえる状況になっている。

決定的な治療法が見つかっていないアトピー性皮膚炎だが、腸内環境を改善することで症状を緩和させることを目的とした機能性表示食品や健康食品が年々増え、国内外で大きな市場に成長している。

腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類の腸内細菌が存在しており、善玉菌を活性させるために「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」を摂取することが推奨されている。

ケストース、マウス実験で有用性

ケストースはスクロースに1分子のフルクトースが結合した三糖のオリゴ糖で、玉ねぎやアスパラガス、トマト、バナナ、ニンニクなどに少量含まれる安全性の高いオリゴ糖である。

すでにプロバイオティクスとして活用されている種々のオリゴ糖と比較しても幅広く有用性を示す素材として注目されている。

ケストースがアトピー性皮膚炎に有効性を示した試験では、薬品を用いてアトピー性皮膚炎を人工的に誘発したマウスを、コントロール群とケストース投与群の2群に分けて16週間試験を行った。



その結果、試験8週目では有意差は出なかったが、16週間で明らかにかゆみの改善・見た目の症状の改善が見られ。また脱毛部分から再び毛が生えてくるという改善が確認された。

腸内細菌叢のバランスを整える

さらに、ケストース投与群の糞便を分析したところ、あらゆる短鎖脂肪酸が優位に増加し、アレルギー反応を誘発させる脂肪細胞も減少していたことも確認できた。

これらの試験結果から、ケストースは難消化性であるため、小腸で吸収されることなく大腸に届き、腸内の有用菌(ビフィズス菌・乳酸菌・酪酸産生菌)の餌となった。

その後、選択的に腸内の善玉菌を増やし悪玉菌を減らすことで、免疫に関与するTh1細胞を増加させ、Th2の働きを低下させることで腸内細菌叢のバランスを整えたといえる。

乳酸などの有機酸を増やす

また、乳酸・酢酸・酪酸といった有機酸を増やし、これらの有機酸が血液に乗って全身の免疫細胞や脂肪細胞に働きかけることでアレルギー症状を緩和させるのではないか、という作用機序が考えられる。

ケストースは粉末タイプでまろやかな甘さがあるのが特徴である。そのままパウダーで摂取することもできれば、他のサプリメントに混ぜて相乗効果を狙うこともできる。

もちろんチョコレートやドリンク類に添加して加工食品を開発するなど汎用性が高い成分なので、注目してほしいとまとめた。


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