ワサビ成分、認知機能の改善で期待
〜ifia JAPAN2022セミナー


2022年5月18日(水)〜20日(金)、東京ビッグサイトにて「ifia JAPAN 2022」が開催された。同展示会セミナーより、三浦陽介氏(金印物産叶V規事業開発部)の講演「【機能性表示食品対応】ワサビスルフィニル®の認知機能改善作用」を取り上げる。


わさび、鎌倉時代に「毒消し」として利用

金印わさびは1929年に創業された加工わさびメーカーで、小袋のわさびは国内でトップシェアを誇る。わさびは日本原産の植物で、金印物産では国内のみならず世界60カ国にわさび製品を輸出している。

同社は薬味としてのわさびだけでなく、本わさびの機能性については20年以上前から研究をスタート。2015年には本わさびを原料とする機能性商品の販売も始めている。

そもそもわさびは古くから薬味ではなく薬草として使用されてきた。

飛鳥・平安時代にはわさびが薬草として利用されていたという記載が残っている。料理に使われるようになったのは鎌倉時代からで「毒消し」として利用されていたという。

4つの機能性成分が確認

さらに江戸時代になると、握り寿司の始祖とされる華屋与兵衛によって初めてわさびが握り寿司に用いられ、そこから薬味として定着した。

わさびの抗菌効果や消臭作用は日本人の健康と食卓を長く支えているが、わさびの歴史を紐解くほど、わさびには機能性成分が存在しているのではないかと推測され研究に取り組んできた、と三浦氏。

現時点でわさびには4つの機能性成分が確認され4つとも規格化されている。特に注目されているのが本わさびの根の部分にわずかに含まれる希少成分「ヘキサラファン(6-MSITC)=ワサビスルフィニル®」であるという。

業界初の機能性わさび

ワサビスルフィニル®には抗酸化・解毒・発がん抑制・抗炎症・育毛などの作用が確認されているが、ここでは認知機能改善作用について詳しく解説。

健常な中高年男性37人を2群に分けて、プラセボとわさび由来6- MSITC摂取群(0.8mg/日)のそれぞれを8週間調査した。

その結果、6- MSITC摂取群において4週目で脳の識別能力や処理能力(注意機能)が向上しはじめ、8週目には有意に脳機能向上が認められた。



この機能性についてはすでに機能性表示食品として届出が完了しており、SR(システマティック・レビュー)対応もしているという。

ヘルスクレームは「6- MSITCは、運動習慣のない中高年の方の認知機能の一部である判断力・注意力を向上させる」で、業界初の機能性わさび(認知機能改善)として注目してほしいという。

記憶力の向上で機能性表示の届出

6- MSITCにはまだ論文化されていないが、新たな2つの臨床データがある。1つが60歳以上の「記憶力の改善」に関する試験データで、ヒト臨床試験で「長期記憶」と「短期記憶」のいずれにも6- MSITC摂取群の方が記憶力の向上が確認された。

こちらは近いうちに論文発表が予定されており、SRを作成後、機能性表示の届出にチャレンジするという。

また、判断力や記憶力は中高年に向けているが、同社では大学生40名を対象に「単回摂取」による認知機能改善作用を行ったところ、1回の摂取でも60分後に前頭葉の活性が見られたという。

抗酸化により脳ダメージを軽減

若年層に向けた機能性表示食品は難しいと考えているが、若い人や単回摂取でも機能性が発揮されることには注目してほしいし、この機能をどのように活用していくかは今後検討していきたいという。

6- MSITCが体内でどのように働くことでこれらの機能性が発揮されるのか、その作用機序については解明されていない部分もある。

しかし、6- MSITCが体内の抗酸化酵素を活性することはわかっているため、それが脳ダメージを軽減し、脳神経細胞を活性している可能性が高い、と三浦氏。

また6- MSITCには血流改善効果もあるため、それもあるのではないか。ちなみに、西洋わさびやチューブのわさびには6- MSITCは含まれておらず、このような効果はないという。


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