この構造は人の角質層にあるセラミドの構造と極めて類似しており、肌の保湿や保護など多数の機能性を発揮すると考えられる、という。
天然ヒト型セラミド、サーチュイン増強効果
さらに経口摂取した場合は、腸管でセラミド構造のまま吸収されるという特徴も解明されている。これまではサプリメントの場合、天然ではあるが非ヒト型セラミドが原料として使用されてきた。
しかし消化吸収性が低く、効果が限定的と考えらえてきた。一方、天然ヒト型セラミドはヒト型セラミドとほぼ同じ分子構造で純度90%以上、吸収率は合成セラミドの3倍、天然セラミドの15倍も高い。
九州大学片倉教授開発のサーチュイン遺伝子活性測定系を使った分析をしたところ、天然ヒト型セラミドによってサーチュイン増強効果があることも推測されているという。
腸管バリア機能が高まる可能性
現在私たちの細胞には老化や寿命の制御に関与する「長寿遺伝子=サーチュイン遺伝子」が存在することが確認されているが、哺乳類には異なる7種のサーチュイン遺伝子が見つかっている。
その中でも例えばSIRT1は細胞内のミトコンドリア活性、SIRT3は細胞内の活性酸素除去といった様子で異なる働きを担っている。
天然ヒト型セラミドをサプリメント利用を想定して経口摂取した場合と、化粧品を想定して肌細胞に塗布した場合、それぞれサーチュイン遺伝子にどのような変化が起こるのかを調査したところ次のような結果が得られた。
まず、腸管細胞培養液を利用した経口摂取を想定した試験では、腸管バリアを形成する20種類のタンパク質の中でも天然ヒト型セラミドはバリア層が弱くなる部分に働きかけ、腸管ジャンクション機能をアップさせる動きが見られた。
つまり天然人型セラミドを経口摂取した場合は、腸管バリア機能が高まる可能性が示唆された。
機能性表示食品の利用などへの活用が期待
一方、化粧品を想定した場合の培養細胞試験では、紫外線を照射してダメージを与えた細胞内のSIRT1が天然ヒト型セラミドの添加でミトコンドリアの回復が見られた。
つまりサーチュイン活性による肌ダメージの回復や老化抑制につながる知見が得られたという。
天然ヒト型セラミドは、醤油を作る際に発生する発酵粕から作られるというところはSDGsにも貢献するサステナブルな素材であり、また安全性試験も化粧品・食品共に完了している。
さらにこのセラミドをナノ化することにも成功しており、透明溶液化も可能だという。今後は化粧品・サプリメント、だけでなく機能性表示食品の届出などで食品利用などに活用されることも期待できるとまとめた。
・