栄養価が低いというのは決してデメリットではなく、胃腸に優しく消化もスムーズであるということだ。とはいえ、タンパク質・脂質、玄米には微量栄養素も含まれている。
しかも油の吸収が少ないためヘルシー。脂質が少ないため、酸化しにくく常温保存が可能というメリットもある。
米粉、4種類の性質
米粉には4種類あり、性質が米粉ごとに異なる。基本はもち米から作られたアルファ型・ベータ型、うるち米から作られたアルファ型・ベータ型の4種。
もち米とうるち米とではでんぷんの種類や割合が大きく異なる。さらに「でんぷん損傷」といって、米を粉砕する際にでんぷんが傷つくが、損傷の違いによっても米粉の性質が変わる。
しかし、市販されている米粉には原料の種類や損傷度などが表示されておらず、表示の決まりもない。
「菓子料理用は1番」「パン用は2番」「麺用は3番」とされているだけで、実際は2種類の1番の米粉それぞれ10gに10gの水を加えても、ベトベト・ベチョベチョ・パサパサ・ネバネバと、種類や損傷率が異なることで仕上がりが全く違ってしまうことがほとんどだ。
「表示基準」を作る必要がある
損傷率が高い米粉やアミロース量が少ない米粉ではパンや菓子は上手にできないが、表示がないから米粉を買ってみないと、どれくらい水を加えるのが適正なのかプロでも検討がつかない。
そのためせっかく米粉を料理に使っても失敗するケースが多く、米粉を敬遠してしまう人が多い。この問題点を解消するには近い将来米粉にも「表示基準」を作る必要がある、とナカムラ氏。
小麦粉には強力粉・中力粉・薄力粉があり、それぞれが何を作るのに向いているか誰でもわかるようになっているし、品質に大きなばらつきはない。
米粉もそうなる必要があるだろう。一方、米粉には原産地表示(トレーサビリティー)は義務付けられているため、何処産の米なのかをチェックして地域貢献することができる。
空前の米粉ブームが起こりつつある
米粉の大きな特徴は、片栗粉・葛粉・コンスターチと比べると糊化温度が高いため、「冷めると固くなるもの」に特に適している。例えばクッキー・タルト生地・カスタードクリームなどはぜひ米粉で挑戦して欲しい、とナカムラ氏。
現在は、円安や輸入品の高騰などもあり、空前の米粉ブームが起こりつつある。2021年度の米粉用の需要量は4万1千トンで、2014年の2倍増加である。
政府も物価高騰の対策に米粉を使った商品開発に取り組む事業者への支援事業を盛り込んでおり追い風は続きそうだ。米粉のレシピ開発などにも力を入れているため、それらもぜひ活用して欲しい、とナカムラ氏はまとめた。
・