ホップ、紀元前から健康効果が知られている
近藤惠二氏(研究開発コンサルタント RD LINKエキスパート)は「知られざるホップの健康機能」と題して次のように講演した。
ビールの原料であるホップは、ビールの香りや苦味を付与するのに不可欠な素材だ。
あまり知られていないが、ホップは紀元前からその健康効果が知られており、世界中で栽培され活用されているハーブでもある。
ビールで使用される以外にメディカルハーブ、アーユルヴェーダ、ヒーリングプランツ(ネイティブアメリカン)などの活用が多く報告されている。
特にドイツはホップの産地として有名で、ホップを使ったビール以外の製品もドイツだけでなく世界各国に多く存在し、ソーセージや入浴剤などは特に人気だ。
ホップの主な生理作用は4つ
ホップの主な生理作用は4つ。鎮静・催眠・静菌・ホルモンの作用がよく知られている。
有名なのが「女性ホルモン様物質」。ホップ栽培農家の女性がホップ収穫期になると肌が綺麗になるといったエピソードもある。
ビール原料としてのホップは、紀元前から始まっていて6000年くらいになる。
ビールにはホップ以外のハーブも使われていたことがあった。それらはグルートビールと呼ばれる。
ビール純粋令(1516年)がドイツで発令されて以降、ビールにはホップだけしか使っていけはいけないとされ、そこからは現在に至るまで500年の歴史がある。
ビールを製造する麦汁煮沸の段階でホップは加えられ、酵母を加えることで発酵し、やがてビールになる。
この煮沸の段階でホップ成分のα酸(フムロン)とキサントフモールが、それぞれイソα酸とイソキサントフモールに熱異性化し変わる。ビールの苦味の良し悪しはα酸(フムロン)によって決まる。
ワインブームから、ホップの健康機能を調査
1984年に、日本で食品の機能性研究がはじまり、2000年代に健康食品市場は大きく伸張する。その後、規制緩和など追い風を受け、さらなる拡大の動きとなった。
キリンでも1987年に基盤技術研究所を設立し、バイオ領域の最先端研究を進めるようになった。
90年代の後半にフレンチパラドックスが話題になりワインブームが起こったことがきっかけで、ホップにも何か健康機能があるのではないかと社内で調査がスタートした。
2000年から同研究所で食品成分の本格的な研究が始まり、その結果として熟成ホップエキス・プラズマ乳酸菌・KW乳酸菌・ βラクトリンなどが開発されるに至った。
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