60歳以上男性の半数、メタボリック症候群
河野氏は不二製油株式会社フードサイエンス研究所に在籍しており、大豆タンパク質に関する研究を長く手掛けてきたという。
日本では健康寿命の延伸に、国としても関連企業としても積極的に関わっていく必要に迫られている。中でも健康食品や特定保健用食品、機能性表示食品の普及や開発に力を入れる必要がある。
というのも、超高齢化社会を迎えた日本において平均寿命と健康寿命の差を埋めていく事は急務であるため。
現時点で「平均寿命」と「健康寿命」の間には「男性で10年、女性で12年」の開きがあり、このことは2006年頃から盛んに指摘され、国としても「メタボ対策」など様々な施策を実施してきた。
しかしながら現時点でこの差は埋まっていない。それだけでなく、60歳以上の男性の半分以上はメタボリックシンドロームか、その予備軍である。
β-コングリシニン、脂質代謝の改善に関与
また、女性においても5人に1人がメタボリックシンドロームか、その予備軍とされ、この10年以上に渡る健康政策や啓蒙活動の効果が十分に出ているとはいえない状況が続いている。
元々日本人に馴染みがある食材の大豆だが、その健康効果についてもよく知られる様になり、1990年代からは大豆タンパク質は特に「脂質代謝の改善に有効である」ことが盛んに研究されるようになった。
その結果米国では健康強調表示が認められるようになり、日本では特定保健用食品の表示も認められている。
脂質代謝の改善に関与する大豆成分としては、大豆タンパクの種子を貯蔵するタンパク質として知られる「β-コングリシニン」の存在が突き止められている。
内臓脂肪が有意に低下
大豆タンパク質の中でもβ-コングリシニンには「内臓脂肪の低下」が確認されており、臨床試験において、食事の介入をせず通常の食事にβ-コングリシンを摂取するだけで内臓脂肪が有意に低下することも明らかになっている。
そのメカニズムについても、脂質代謝活性を促す酵素をβ-コングリシニンが肝臓内で活性化するためと解明されている。
さらに肝臓内でβ-コングリシニンは脂肪の分解を抑え、脂肪合成酵素の発現を抑制、血中や臓器の過剰な脂質や糖質を排出する効果も確認されている。
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