日本人がよく摂取する食品の中では、やはり欧米と同様、タマゴ・大豆・食肉などに豊富に含まれるコリンだが、他にしめじ、しいたけ、魚卵、緑茶などにも多く含まれている。
しかし、タマゴに含まれるコリンの量は圧倒的に多い。ただ、タマゴのコリンは脂溶性化合物の「ホスファチジルコリン」であり、この状態で体内に入ることが消化吸収にどのような影響があるのかなどわかっていない点も多い、と三浦氏。
日本人のコリン摂取、概ね不足傾向
日本人のコリン摂取について、日本人の男女大学生34名を対象に年4回の栄養調査を行った。その結果、コリンの摂取量は欧米の摂取目安量63%程度であることが推定され、概ね不足傾向にあることが分かった。
また別の調査では母乳中に脂溶性コリンの10倍近い水溶性コリンが含まれていた。これはおそらく乳児へ効率的にコリンを供給する必要があるからで、乳幼児の体にコリンの重要度が高いことが窺える、と三浦氏。
他にも京都市内の人間ドック受診者560名を対象にアンケート調査を行った。その結果、やはり全体的にコリンの摂取量不足が示唆され、コリンを多く含む畜肉や乳製品の摂取量が少ない生活が影響していることが考えられた。
さらに肝機能のマーカー数値が基準内である人は、基準値外の人よりコリン化合物の摂取頻度が多いことが示唆された(特にγ-GPTにおいて顕著)。
また、現状の食生活でいきなり肝障害を起こすケースは少ないが、長期のコリン摂取不足の影響は検討する必要があること、また女性の方が男性より低値を示す傾向があることなどが確認できた。
タマゴはコリンの供給源として魅力的な食材
コリンは種類によって細胞での利用性が異なることや、その利用性はがん細胞と正常細胞においても異なることなどがわかっている。
コリンの摂取で未病を防げるのか、またコリンの機能性などについてはコリンの種類によっても大きく異なることが予測される。そのため、まずは研究の母数を増やしエビデンスを蓄積していくことが何よりも重要だ、と三浦氏。
特にタマゴはコリンの供給源として魅力的な食材であることに違いないが、タマゴコリンは「ホスファチジルコリン」であり、「ホスファチジルコリン」として摂取することが有効なのかについても解明されていない部分が多い。
これからも研究を続けることでタマゴコリンの有用性について明らかにしていきたいとまとめた。
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