食品の安全行政、日本は世界でもトップレベル
昨今多発している食品表示偽装問題などで、国内における「食の安全」への消費者の信頼が揺らいでいる。とはいえ、OECD(経済協力開発機構)に参加する先進国30カ国のなかで、日本は2位に位置(「食品安全ランキング2008」カナダレジーナ大学)し、世界的に見れば安全レベルは高い。
日本で、消費者が懸念する「食のリスク要因」として「有害微生物(細菌/ウイルス)」「汚染物質」「農薬」「家畜用抗生物質」「BSE」「遺伝子組み換え食品」「食品添加物」などがある。中でも、常にトップ5の「食品添加物」「農薬」「遺伝子組み換え食品」「BSE」については、最初の情報開示の段階から消費者を不安にさせるようなものばかりで、そのイメージがなかなか払拭できないことに問題がある、と日和佐氏。
「食品安全基本法」、リスク分析で食品の多くが
グレーゾンに
例えば食品添加物について、多くの消費者が「避けたい」と思っているのと同様に、事業者側も「無添加」といった言葉を使い、「食品添加物」を使用していないことをアピールしたがる傾向にある。1980年代に食品添加物規制緩和に対する闘争運動が起こり、そのマイナスイメージのスタートから、消費者が食品添加物を嫌がる傾向が未だ強く残っているが、その後様々な研究が進み、全ての食品添加物が必ずしも危険であるとは言えないことも科学的に明らかとなっている。
そもそも添加物を加えないと凝固しない食品もれば、添加物なしでは製造できない食品も多い。添加物が使用された食品が無添加の食品よりも健康にいいという科学的証拠もなく、加工食品であっても無添加食品であっても、未来永劫に安全と健康を保証できるものは何もないというのが現実なのである。
平成15年に「食品安全基本法」が定められ、全ての食品にリスクがあることを前提とし、その上で食の安全を確保しようと、「リスク分析」「リスクコミュニケーション」という新たな食に対する考え方が生まれた。結果、安全性の白黒がはっきりせず、グレーゾーンに位置するものが多くなり、逆に消費者を混乱させる、危険性をごまかすための論理になっている、と日和佐氏は指摘した。
「食品メーカーは消費者に迎合しすぎる」
また現在、国内における食品メーカーの姿勢は消費者に迎合しすぎている、と日和佐氏はいう。商品が売れなければ困る、従って消費者に迎合するのはある程度仕方がない。それにしても保存料無添加という言葉を必要以上に多用するのは、保存料を敵に回すこととなり、結果自社の首を絞めることになりかねない。
また商品の自主回収についても、やりすぎを指摘。安全性に問題がなくても回収し、回収することで消費者に誠意をアピールする傾向にあるようだ。
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