こうした不備を改善するため、2006年より、例えば「あじの開き」は日本で製造加工されていても、魚自体がロシアで水揚げされたものであれば、原材料名:まあじ(ロシア)と原料原産地を表示することが義務付けられるようになった。「沼津産 あじの開き」という表示は今や禁止事項だ。「あじの開き」(加工地:沼津、原料原産地:ロシア)と表示しなければいけない。
これまで、加工食品の原料原産地表示については20品目が義務付けられていたが、今年10月から、緑茶飲料やあげ落花生も追加となった。ただ、これら加工食品の原料原産地表示についても、レストランや直売など対象外になっているものも多い。
表示は「信頼」で成立、事業者や行政に問われる
責任
期限表示については、食品の情報を把握している製造業者等の表示義務者が科学的、合理的な根拠に基づいて期限を設定する、というガイドラインがあるが、近年の偽装問題を考えるとこれだけでは不十分といえそうだ。
製造年月日が期限表示に変更され、賞味期限か消費期限に、また保存方法とのセット表記の義務付けなど、表示水準は高くなっているが、表示についてはあくまで「信頼」で成り立つ。事業者には十分な責任が伴う、行政も監督責任が問われる。
セミナー後の質疑応答では、参加者に製造業者が多かったせいか、立入検査は地方の保健所と消費者庁が行なうのか、新しい商品スペックになった場合どこに問い合わせれば良いのか、など行政を気にする質問が目立った。また、消費者から寄せられる細かな質問に、どのように対応すれば良いかなどの質問もあった。
いずれにせよ発足したばかりの消費者庁、メディアを通してさらなる業務内容の発信が求められる。また、消費者も、「食」における自己責任を再認識するとともに、事業者や行政との三位一体で食文化や食のレベルを高めるための努力をする必要があろう。