食品の二次機能、"食感"を科学的にアプローチ〜"おいしく、食べる"の科学展

2009年11月21日(土)、日本科学未来館(東京・台場)で、"おいしく、食べる"の科学展が開催。2日目、相良泰行氏(社団法人 食感性コミュニケーションズ理事長)が、「もっと、おいしく〜"おいしい"の感性を科学する〜」をテーマにトークイベントを行った。食品の二機能(味覚)を科学的にアプローチする手法を解説した。


「おいしさ」を科学的に分析、食品開発に活かす

食品には、三つの機能があるといわれる。すなわち、栄養(一次機能)、味覚(二次機能)、体調調節、疾病予防や老化防止(三次機能)である。近年、食品の三次機能の解明が進み、飲料やスナックなどに健康効果を付加した機能性食品が増えている。

とはいえ、食品の「味覚」は消費者の購買動機の大部分を占める。三次機能だけでなく、二次機能の「味覚」も好ましくなければ消費者の食指は動かない。そのため、企業は消費者の嗜好にあった味覚、食感の研究に日々努めている。

では、どのような「食感」が消費者に好まれるのか。食品の「おいしさ」を消費者に訴え、購買に結び付けるにはどうすればいいのか。
この点について、相良氏は、「食感を科学的に分析・数値化し、食品の商品開発に活かすことが必要」という。過去に相良氏が企画アドバイスした緑茶飲料はヒット商品に育ったが、当時は緑茶市場がすでに飽和状態であった。そのため、「味覚」だけでなく、「すっきり感」「緑茶感」「甘み」「香り」という4つの側面も考慮、多角的にデザインしたという。

例えばOLをターゲットにしたお茶であれば、「甘み」を強めるなど、コンピューターで数値化した味に微調整する。さらに、中身の評価を上げるため、パッケージを中身と同調させる「調和設計」を行なったという。

テレビCMで、「おいしさ」の最終仕上げ

また、「おいしさ」は味覚だけでなく、食べ心地(触覚)や香り(嗅覚)といった五感も伴い初めて成り立つ。「味」と「パッケージ」だけでは表現できない部分はテレビCMでデザインすると相良氏。

テレビCMや料理番組は消費者の視覚や聴覚を刺激する。「おいしさ」を感じさせる重要なツールとなる。
例えば、商品に「すっきり感」が足りなければ、CMでそれを感じさせる情況設定をし、ふさわしい俳優を起用し、イメージ戦略で「すっきり感」を消費者に定着させる。
一頃、ビスケットを食べた際のサクサクした音やお茶漬けをすする音を強調したテレビCMが流行ったが、これらは「おいしさ」を五感に訴えるという手法を用いている。

会場では、参加者40人に同じミルクコーヒーに、ストローの口径サイズを変え、「苦み」を感じる実験を行った。結果、ストローの口径が大きくなると、全体的に味が水っぽくなり、それだけで「苦くない」と感じる人が多いことがわかった。


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