健康食品の法令違反、薬事法で26件
〜平成20年度「試買調査」結果報告


2009年12月4日(金)、練馬文化センター(東京都)で、「健康食品取扱事業者講習会」が開かれた。健康食品に関わる法令、薬事法、健康増進法など各担当者が解説。また、平成20年度「試買調査」結果が報告された。都が買い上げた151品目のうち、法令違反、不適切と判断された商品数は、健康増進法で55点、薬事法で26点となった。


特保食品と類似した表記の違反目立つ

都では、平成8年より福祉保健局と生活文化スポーツ局が中心となり、健康食品の「試買調査」を実施。健康被害を未然に防ぐため、健康食品の表示・広告内容の検証や成分検査を行っている。

講習会では平成20年度「試買調査」結果を報告。今回、都内の健康食品売り場やスポーツ用品店等の93事業者から112品目、インターネットや雑誌など通販36事業者から39品目、合計151品目が対象となった。
結果、法令に違反、あるいは不適切と判断された商品数は、食品衛生法10点、JAS法82点、健康増進法55点、景品表示法26点、薬事法26点となった。

最も多いJAS法については、輸入品における日本語表記の違反や、事業所表記の違反が目立った。健康増進法については、特定保健用食品と類似した表記などの違反が目立ったという。
また、販売店で購入した1品目に、勃起不全治療薬として用いられるシルデナフィル類似成分のチオアイルディフィルという医薬品成分が検出されたという。

健康食品による被害事例を医療関係者と情報共有

都では、健康食品による健康被害と疑われる事例を、医療関係者と情報共有するよう努めている。平成18年より、病院や診療所、薬局に健康被害の届け出があった場合、即座に都の医師会や薬剤師会に報告、都でも逐一検証するという取り組みを行っている。
検証の結果、行政対応が必要と判断された場合(違反品、重篤被害)は、製造・販売・流通の禁止や製品の回収、また厚労省へ報告する。

平成18年度には、医師会から107品目、74人の健康被害者報告が、薬剤師会からは41品目、37人の健康被害者報告が事例検討専門委員会に寄せられた。 それによると、健康被害は20代と50代-70代に多く、男女比では男性29%、女性67%と、女性の被害が多いことがわかったという。

平成19年、健康被害事例検討専門委員会を設置

平成19年3月には、医療関係者との情報共有事業をベースに、健康被害事例検討専門委員会を設置。委員会は現在非公開だが、東京都医師会や薬剤師会から報告された健康被害の事例、製品と健康被害との関連性、健康被害の重篤度について各専門家と協力して分析、検討結果を医師会、薬剤師会に上げている。

健康被害事例については、摂取から発症までの期間、転帰状況、原材料と症状との関係を示す文献情報の有無、薬剤リンパ球刺激試験等の実施結果、再摂取等での発症状況、同様な症状を起こす可能性のある薬物や食品の摂取の有無などを分類し、点数化、それに重篤度を加味して、緊急レベルに応じて対応を行なう。
ちなみに、緊急レベルは至急調査、検討、観察、(データ)蓄積の4つに分類されるが、今のところ至急調査の対象となった事例はないという。

消費者庁や消費者委員会を設立
消費者の安全行政を多角的に進める

また、平成19年度には「健康食品のデータベース」というホームページを開設。現在は370品目しか登録されていないが、今後も数を増やしデータベースの充実をはかりたいと、参加事業者に登録を呼びかけている。

国は、今年度より消費者庁、消費者委員会を創設し、消費者の安全を守る行政事業を多角的に進めている。大切なことは、健康食品を提供する事業者が、健康食品による健康被害をおこさない、あるいは健康食品において消費者の期待を裏切らないことであり、そのための法令遵守が必要と訴えた。
また、表示の意味や摂取方法について消費者教育を同時に進めることにも注力したいと述べた。


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