泡沫化マクロファージが蓄積し動脈硬化に
宮崎徹教授(東京大学大学院医学研究科 疾患生命工学センター 分子病態医科学部門)は「納豆は体に良いのか?どのように良いのか?なぜ良いのか?」と題して、納豆とAIM(人体のタンパク質細胞)との関わりを報告。
納豆は長い食経験があり、健康に有益であることは体験的にも立証されている。どんな薬にも副作用はあるが、納豆にはそれがないことに宮崎氏は着目。納豆の効用は遺伝子DNAに影響しない、きわめて特異的なものではないかと仮説を立てた。
動脈硬化は、血管に脂肪が蓄積し硬くなるというイメージがある。実際には摂食で悪玉コレステロールが血中に流出した際、除去作業でマクロファージが活性化。マクロファージは泡沫化し、そのまま血管に蓄積し動脈硬化が起きる、と宮崎氏。
泡沫化マクロファージの死滅・排泄、AIMが鍵
ではなぜ泡沫化したマクロファージは排泄されず血管に溜まるのか。
マクロファージは悪玉コレステロールを吸収する際、自身が生き残るためにAIMという細胞を発現させ、生存を図ることが研究で分かった。
逆にいえば、AIMが作用しなければ、マクロファージは死滅し、動脈硬化も起きない。
そのため、納豆は悪玉コレステロールやマクロファージにではなく、AIMに作用しているのではないかと宮崎氏は推測。実際に実験でも、納豆の摂食でAIMの発現低下がみられたという。
AIMはメタボリックシンドロームの発症にも関与していることが明らかになりつつある。納豆はAIMを標的として生活習慣病の改善に決定的な効果を持つのではないか、納豆とAIMのさらなる研究が進められているという。
税収37兆円、医療費が34兆円
永山久夫氏(食文化史研究化/総合長寿食研究所所長)は「笑って元気 納豆力」と題して、日本の食文化における納豆の役割について講演。
現在、日本では医療費が高騰し、税収37兆円に対し医療費34兆円、財源のほとんどを医療費に使っている。
老人が増え、少子化が進み、国力が弱くなっている中、日本人が唯一世界に誇れるのは長寿。世界の人々から尊敬される「健康で長生きの国=日本」になるためには、日本の昔ながらの食文化を復興させること、それこそが唯一の秘策と永山氏は述べた。
梅干しや漬け物、納豆を食卓に
さらに、「走り」「旬」「なごり」「時なし」と日本人には食材を繊細に楽しむ文化があった。とくに「時なし」は重要で、納豆や味噌を指すと永山氏はいう。
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