血管新生抑制でトコトリエノールに着目
トコトリエノールはビタミンEの一種。ビタミンEのなかではトコフェノールが高い抗酸化能で注目されてきたが、最近の研究ではトコトリエノールがトコフェノールを上回ることが判明、機能性に関心が寄せられている。
トコトリエノールが含まれる食品は非常に少なく、研究データも少ない。トコトリエノールの研究は始まったばかりといえる。
トコトリエノールが多く含む食品に米ぬかがあるが、パーム油由来のトコトリエノールを摂ることが多いと宮澤氏。
トコトリエノールの生理作用としては、
@コレステロール値の低下、A抗酸化作用、B神経細胞の保護、C血圧下降、などだが、宮澤氏は「血管新生抑制効果」に着目。トコフェノールに「血管新生抑制効果」はみられない、トコトリエノールの独自機能ではないか、このメカニズムの研究で「がん抑制効果」を裏付けたいという。
がん細胞は、自らが成長するため、栄養分を取り込む新たな血管を形成する必要がある。血管新生なくしては、がん細胞も成長できない。
「血管新生抑制療法」は最新のがん治療で注目の的となっている。
試験管・マウス実験では、血管新生や腫瘍を抑制
従来のがん治療はがん細胞そのものをターゲットに切除や化学治療を行ってきたが、食品成分によるがん治療法を研究したいと宮澤氏はいう。
試験管およびマウス実験では、トコトリエノールに血管新生抑制だけでなく、腫瘍の成長を抑制する効果もみられている。
がん細胞(大腸がん)を移植したマウスと、トコトリエノールを混ぜたがん細胞を移植したマウスを数日間飼育し、がん細胞の成長を比較したところ、トコトリエノールを混ぜたマウスには血管新生が起きていないことが判明したという。
また、トコトリエノールのがん細胞への直接的な働きをみるため、がん細胞を移植したマウスにトコトリエノールを3週間摂取させたところ、がん細胞が増大していないことが分ったという。
・
・