新しいバイオマーカーを用いた機能性食品〜「統合医療エイジングケア2010」

2010年2月9日(火)10日(水)、予防医療、補完・代替医療、抗加齢医療に関連する製品展示と医療セミナーを併設した「統合医療展エイジングケア2010」が東京ビックサイトで開催された。この中で、金沢大学大学院医学系研究科臨床研究開発補完代替医療講座特任教授の鈴木信孝氏が「新しいバイオマーカーを用いた機能性食品」について発表した。


統合医療の一番の壁が西洋医学側からのコンセンサス

2010年1月29日、国が「統合医療プロジェクトチーム」の発足を発表、厚労省内でも専用窓口が設置され、鳩山首相も「統合医療を政府として押し進めたい」と述べている。 国民が「自身で出来る予防(セルフケア)」とは何かを考え、未病の状態を保つ努力が必要という。

しかしながら、統合医療の一番の壁が西洋医学側からのコンセンサスであると鈴木氏は指摘する。医者は医師免許を取るために代替医療を学ぶ必要はない。どうしてもその領域が不勉強になりがち。そのため、代替医療では効果のエビデンスが重要で、そこをおさえなければ統合医療はなかなか進まないと述べる。

近年、科学技術の進歩で、バイオマーカーの発見が可能に

バイオマーカーとは尿や血清中に含まれる生体由来の物質で、生体内の生物学的変化を定量的に把握するための指標となる。バイオマーカーはある特定の疾病や体の状態に相関して量的に変化するため、バイオマーカーの量を測定することで疾病の診断や効率的な治療法の確立などが可能となる。

生体内には数多くのバイオマーカーが含まれているが、近年の科学技術の進歩により、これまで困難だったバイオマーカーの発見や研究が可能になっているという。

腸内細菌についてもバイオマーカーを用いた研究が進んでおり、かつては培養できなかった腸内細菌も近年は遺伝子検査の技術が進化しているため検査・研究が可能になっている。食品の安全性の研究をより効率的に行なうためには、このバイオマーカーを使用した研究がより効果的であるという。

食品を食べた後に、血液を採取し、そこからRNAを取り出し、解析し、食べる前のRNAと比較することで、食品機能によって動いた遺伝子が判明し、その食品の効果や安全性が効率的に判るという。

これまでRNAを取り出すことは困難で、食品の機能性を調べることもコストがかかり容易ではなかった。しかし現在は研究開発が進み、効率的に調査することが実現可能となっているため自社製品でもこうした実験機関を利用し、製品が持つ機能を証明することに役立てて欲しいと鈴木氏はいう。

バイオマーカーを用いた実験で食品の機能性のエビデンスが明確になれば、すぐに特許を取得できるほど価値が高まるため、メーカーには大学や調査機関と連携し食品機能や製品改良に最新の技術を役立てて欲しいと鈴木氏はまとめた。


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