中国国内の食の安全対策
中国食品産業は農業、食品製造業、食品流通業、飲食業から構成されているが、生産額は2000年から2007年の間で12%も成長している。中でも食品製造業は大きく拡大しているが、農業は縮小していくという二極化も問題点となっている。
またフランチャイズビジネスやチェンーンストアの展開や発展も目立つ。これらの拡大が食品加工品と半製品の需要促進に拍車をかけており、食品製造業の拡大に貢献しているという。
このような食の拡大のなかで、安全性という視点は非常に重要なものとなっている。特に富裕層が安全性を重視するようになっており、価格から品質へというトレンドはますます強まると予測される。
しかしながら中国政府はこれまで輸出品にばかり検査体制を強化し、国内産品については検査体制が整っていなかったため、輸出品と国内品の安全性の差が大きいことも課題の一つという。
特に日本でポジティブリストが実施されてからは、中国側の検査体制も厳しくなり、輸出食品に関する安全システムの対策がとられるようになったという。また高度な検査機器の投入も政府が積極的にすすめているそうだ。
日本への輸出品については、これらの検査コストや検査機器の調達コストが高くなり、日本国内の消費者価格に転換できずに企業収益にも影響しているほどであるが、それでも安全性を優先する傾向にある。
しかし国産品においては輸出商品ほどの対策が行き届いておらず、食の安全に関する問題が頻発している(2008年のメラミン混入事件含む)。もちろん国内における食の安全性問題は国外へも報道され影響するため、輸出収益の障害にもなりかねない。
そのような流れのなかで2009年に中国では食品安全法がようやく発効、今後どのように執行されるか注目されている。また2010年2月には食品安全委員会も設立された。委員長には現副総理が起用され、国家として食の安全に全面的に取り組む姿勢が見える。
食品安全法以外にも食の安全に関わる法律や条例は10種類ほどあるそうだが、それらの整合性は欠けている部分も多く、今後は食品安全法と食品安全委員会における調整や取りまとめ、牽引が期待されていると報告した。