健康食品、サプリメントの法整備に向けて活発な意見交換〜健康博2010セミナー「サプリメント法制定へ、健康食品の制度化と課題」

2010年3月19日(金)、健康博覧会2010(東京ビックサイト)で、「サプリメント法制定へ、健康食品の制度化と課題」と題してセミナーが開催された。パネリストとして、UBMメディア(株)代表取締役 牧野順一氏、健康食品産業協議会 委員 木村毅氏、(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 東日本支部食生活研究会代表 蒲生恵美氏、日本チェーンドラッグストア協会 事務総長 宗像守氏、民主党議員で内閣府政務官の泉健太氏の5名が参加、法整備へ向けての活発な意見交換が行なわれた。


消費者の視点に立った健康食品のあり方を

健康食品産業協議会には現在8団体が参加、健食業界の基盤づくりを合同で行なっている。特定保健用食品や栄養機能食品、健康食品について政府及び各団体への提言を行なっていきたいと木村氏はいう。 特保食品については、大手企業だけでなく、中小企業にも光を当てたいとし、認定審査の透明性、特保許可後の安全性の確保など提言していきたいという。

特保や栄養機能食品の表示については、消費者が求める表示(機能性、対象者、用量、摂取タイミング、関与成分、作用機序など)にもっと添う必要があると団体としての考えを示した。

健康食品については、日本健康・栄養食品協会を中心に自主基準の運用、事業者登録の導入、劣悪品販売業者の淘汰など統合的に進めていきたいと木村氏。

また、健康食品の表示に関する自主基準案として、「食品である」旨の明示、健康食品としての特定表示の策定、第三者機関のデータベースへ有効性やエビデンスを掲載など、消費者の視点で、健康食品のあり方を業界一丸となって検討していきたいと述べた。

消費者のメディア・リテラシー教育にも注力

(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の蒲生氏は、現在の健食市場が、健康志向の消費者と販売事業者の双方の増幅で市場が拡大したと述べた。

商品の誇大広告、消費者の過度な期待や誤った摂取、それによる健康被害などで、特保食品の必要性や健康食品の有効性にも疑問の声が上がっているが、これだけ注目を集め、ニーズのあるものが市場からなくなることはない、いかに適切に使用するかが重要だとした。

特保商品については、病人対象ではないことの明示化など、改善すべき点が多々あると蒲生氏。不適正表示や安全性が確保されていない商品は市場から排除するためにも、消費者は表示や成分の有効性について積極的に学ぶ必要がある、消費者団体としてもメディア・リテラシー(情報を読み解く能力)の教育に積極的に取り組んで行きたいと述べた。

法整備、消費者の求めている表示方法などを軸に

ドラックストア市場は5兆円規模で右肩上がりだが、アメリカでは健食の販売の70%が店頭、対して日本では70%がネットや通販、店頭購入はわずか30%。とくに、近年は健康番組がテレビから消え、売れ行きも伸びていないと宗像氏はいう。

チェーンドラックストア協会の設立時、「セルフメディケーションの推進」を大目標に掲げたが、現在、医療制度は確立されているものの、健康制度については未着手と宗像氏。
医療費高騰の解決のため、生活習慣病予防や未病で声をあげるべきだが、健康食品は制度もなく、医薬品と比べてパワーバランスで非常に弱い立場にあるとした。

健康食品の法整備については消費者の声が非常に重要で、有効性や摂取方法などを知る権利と選択する権利が消費者に担保されるべきと宗像氏。もちろん安全性が確保されることは絶対条件だが、消費者の求めている表示方法などを軸にすべきとした。

医療だけでなく、予防についても制度の確立を

それぞれの見解に、民主党議員で内閣府政務官の泉氏も賛同、健康や栄養に関する具体的な政策がこれまで打ち出されてこなかったことを認めた。薬事法も役所だけの論理で成り立っている部分が多い、民主化を進め、解釈についても今一度議論すべきだと個人的な見解を述べた。

さらに、消費者庁は消費者の利益を守るための機関、薬事法も表示法もこれまでは役所が独自に決めていたが、政権交代にともない、見直しや意見交換を活発に行ないたいとした。
また、国としても健食産業は大切な市場であり、医療だけでなく、予防についての制度も確立して行かなければならないと見解を述べた。

シンポジウムでは、消費者と事業者が健康食品のあり方や表示について、同じ方向性であることが明らかとなった。国民の健康のためにも業界が一丸となることが必須、国も健康栄養政策に早急に取り組む必要があると牧野氏はまとめた。


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