「くず米」の規定が不明瞭
玄米・精米表示の問題点は大きく分けると3つ。
第一に、流通するすべての精米に「産地・産年・品種・割合」が表示されていないこと。
第二に、「産地・産年・品種」(いわゆる3点セット)を表示するためには農産物検査を受けなければならず、それが過度な農薬使用を助長していること。
第三に、いわゆる「くず米」の規定が不明瞭である、ということ。
デフレの背景もあり、ドラックスーパーや激安スーパーでは5キロ1250円といった、激安米が流通している。いわゆる「ブレンド米」である。安さのカラクリは「産地、品種、産年を表示していない」ことにあると食政策センタービジョンの安田節子氏は指摘する。
こうした低価格米にはいわゆる「くず米」や「超古米」「輸入米」が混ざっていることが多く、粒がふぞろいで、炊くと水っぽく、独特のにおいがしたり、不味いと感じる消費者も少なからずいるという。
米の全体の生産量の3〜5%の割合で「くず米」は発生するが、通常農家は専門の業者に売り渡し加工食品や飼料に使う。しかし、不当利益を得るために主食用に横流しする業者が多いのが実状という。
検査を受けない米は全体の40%以上
しかしなぜ「ブレンド米」には「産地、品種、産年」の表示がなされないのか。JAS法では主食用の米は単一銘柄米とブレンド米の2種類がある。ブレンド米の場合、国産品は「国内産」、輸入品は「外国産」と表示しなければならない。しかし、全て国産品であれば、ブレンドした内訳の産地や品種、産年は明記する必要がないと規定されている。
生産者は米を生産した後、農産物検査にかけるかどうか選択するが、そこでまず米は「検査米」と「未検査米」に分類される。検査は任意で、検査員も目視で行なう。また、品種は科学的検査による識別ではなく農家の自主申告によるもので、実状はお粗末なものと安田氏はいう。
したがって検査を受けない米は全体の40%を超える。検査を受けないもう一つの理由は農薬の問題に絡むため後述するが、まずこの段階で「未検査米」に分類された米が問題となる。
というのも、「未検査米」でも主食用として流通するが、「未検査米」に「産地・品種・産年」を表示することはJAS法違反となる。国産米であれば古米や米の粒を測定する「ふるい」から滑り落ちた小さな粒の「くず米」を混ぜた「ブレンド米」を「国産10割」などと割合のみ表示して販売することができるからである。
「ブレンド米」には、どんな米がどんな割合でブレンドされているか表示する義務はなく、消費者は知らぬ間によくわからない米を食べさせられていることになる。
汚染米事件の真相もこの「ブレンド米」表示の悪用という見方が強い。「ブレンド米」の表示は原則禁止し、主食に加工用のくず米を混ぜることも禁止すべきと安田氏はいう。農水省は安い米は消費者ニーズがあるという理由で、くず米を主食用に混ぜることを黙認しているが、これが日本人の米離れや米の価格崩壊に繋がっていると厳しく批判した。
検査項目の「着色粒」は即刻削除すべき
第二の問題点である農産物検査については、申告制の任意検査であるにもかかわらず、内容が不明瞭で、特に検査項目の「着色粒」は即刻削除すべきと反農薬東京グループの辻万千子氏は訴える。
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