異常気象、食の需要と供給が不均衡に
食の問題は山積しているが、食の問題を軽減するためにも、私たちは歴史から学び、リスクマネジメントをする必要があると八並氏は提言する。例えば、昨年爆発的に流行した新型インフルエンザは記憶に新しいが、歴史をひもとくと新型のインフルエンザそのものが10?30年周期で爆発的な災害を引き起こしていることがわかっている。
今年は30年に一度の異常気象と報道されているが、このレベルの異常気象は過去にももちろんあり、その年は食の需要と供給の不均衡を含めた多くの食の問題が発生していることがわかっている。
最近ではアイスランドの火山噴火がヨーロッパだけでなく世界中に様々な弊害を与えているが、火山噴火と食の問題にも深い関係があり、フランス革命のそもそものきっかけも火山噴火だったと言われている。国内の例を取り上げると、1954年ビキニ湾での水爆実験で日本国内が大飢饉に陥ったことが挙げられるだろう。
それ以外にも1976年の夏は異常な冷夏で、この年も食料確保の問題が国家の大きな課題となった。1980年にも冷夏による食品メーカー、関連企業の倒産が相次いだことが報道されている。
このように気候変動や自然災害に食環境は影響されやすく、過去を検証しても同様な問題はなんども経験していることからも、我々はそろそろ気候や自然災害に影響されにくい食のリスクマネジメントをするべきなのではないかと、八並氏は提唱する。
食の安全や栄養面で、注目される伝統食材
そのような状況で、食の安全という観点からどのような食材に注目すべきかを考察すると、伝統食材に行きつくのではないかと八並氏はいう。伝統食品とは、その食品を食材として我々人間が使用している期間の長さが長ければ長いほど良く、何より原料に安心感がある。
加工食品と比べても、伝統食品にはまがい物、異物混入、腐敗、薬物の故意の添加などが考えられにくい。具体的な食材例を挙げると、大葉、双葉、生姜、抹茶、ごぼう、ほうれん草、黒米などであり、これらの食材を我々人間は長い期間食してきている。そのため、これらの食材に対する信頼と安心感は元来高い。
さらにこれらの伝統食品は栄養価の面でも再び注目を集めている。例えば、双葉の有効成分DNJには糖尿病予防、肥満予防、抗ウイルス活性が期待され、同じく双葉のQ3MGには抗動脈硬化活性作用が、同じく双葉に多く含まれるムルペロシドFにはメラニン合成阻害、肌美白作用効果が期待されている。
このところ青汁産業は堅調に売り上げを伸ばしているが、これには青汁そのものの栄養価の高さ、使用されている食材の機能性の高さ、そして安定して供給ができる環境があることなどが背景にあるのではないかと八並氏は分析する。
抗疲労や滋養食品、女性や若年層向け商品も
抗疲労、滋養強壮食品も人気がある。これは現代社会において働き過ぎ、ストレス過多といった諸問題が消費者の購買意欲を刺激し、売り上げを伸ばしている。かつては中年男性向けの商品が多く出回っていたが、近年は女性や若年層向けの商品も多く出回り、メーカー側も新たな需要の開拓に力を注いでいる。
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