女性の不定愁訴、要因はホルモンバランスの乱れ
講師の沢井氏は、産婦人科医として20年以上のキャリアがあり、女性の慢性疾患に漢方薬を処方した経験もあるが、漢方薬の奥深さに魅了され、専門的に学び、現在は慶応義塾大学病院漢方クリニックで外来も担当している。
多くの女性が抱える不定愁訴。イライラや頭痛、肩凝りやむくみ、体の冷えやほてりなどの原因は様々だが、例えば頭痛だと、西洋医学的には「緊張性頭痛」「ストレス性頭痛」などと分類し、鎮痛剤を処方するという方法で対処することになる。
ところが、女性の不定愁訴の要因はホルモンバランスに寄るところが大きく、年齢的に40代以上であれば、更年期障害、40代以下であればPMS(月経前症候群)であると考えた方が、根本的な解決に近づくのではないかと沢井氏は述べる。
更年期障害もPMSも症状は類似している。イライラ、頭痛、めまい、たちくらみ、肩凝り、冷え、ほてり、疲労感、動悸、うつっぽい、食欲異常などであり、症状に個人差があるものの、原因はホルモンバランスの変化。
とはいえ、冷えやほてり、疲労感、食欲異常を解決するのにベターな薬は現在のところないと言ってよいと沢井氏はいう。そこで登場するのが漢方薬。漢方薬は女性のための薬だと言っても過言ではないと沢井氏。
女性は思春期に生理がはじまり、そこから月の満ち欠けのようにホルモンが日々変化するが、妊娠出産、年齢、閉経、生活環境でそのホルモンの状態はがらっと変わることになる。
ホルモンバランスの乱れは体調不良の原因となり、そのため女性の病気は男性の十倍も治しにくい、と1000年以上前の中国や日本の医学書にも書かれているという。
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