体内で合成され、一定量蓄積
今回、加藤氏が研究成果を発表した糖アルコールは「1,5アンヒドログルシトール(通称1,5-AG)」。グルコースに類似した機能性糖アルコールである。
1,5-AGの優れた特性としては、安全性と機能性、物性の3つ。安全性については、1,5-AGはグルコースから体内で合成、しかも体内で一定量プール(備蓄)されており、私たちヒトが非常に慣れ親しんでいる物質であるという。
1,5-AGがなぜ体内に一定量プールされているのかはまだ解明されていないが、解明されれば、サプリメントとしても1,5-AGが重要な役割を果たすのではないかという。
1,5-AGは食品中に普遍的に含まれ、とくに大豆などの種子類には非常に多く含まれていることが判っている。また、米、日本茶、醤油など日本人が日頃から摂取する日本食にも多く含まれ、お腹がゆるくなるなどの副作用もみられないという。
血糖値や高脂血症の改善、虫歯予防などが報告
機能性については、マウス実験で食後過血糖改善作用、食後高脂血症改善作用、虫歯予防作用などが確認され、長期投与では抗肥満作用も報告。血糖値の急激な上昇を避け、糖尿病のリスクを軽減、また中性脂肪の上昇を穏やかにすることから肥満防止にもつながると加藤氏。
また、糖物質であるが、キシリトール以上の抗う触作用(虫歯防止)を発揮する点が非常に優れていると力説した。甘味を有し、低カロリーで冷涼感があることから、食品分野では甘味調整剤としての利用でメタボリックシンドロームをはじめとする様々な生活習慣病の予防が期待され、需要も高まっているという。
食品分野だけでなく医薬品や化粧品分野での応用が期待
また、耐熱・耐酸性や非メイラード反応生などにも優れ、物質が安定していて変色しにくいという特徴は、食品分野だけでなく医薬品や化粧品分野での応用も期待されるのではないかという。
今後、生活習慣病の予防を目的とした機能性食品用素材だけでなく、低カロリーで甘味を必要とする食品原料、アミノ酸製剤とも混合叶な浸透圧調整剤、医薬品、口腔内崩壊上、保湿性に優れた化粧品原料などへの応用が期待されるという。
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