「朝食の欠食」、児童の集中力や学力低下に繋がる
日本国内で平均寿命は伸びているが、健康寿命は伸びているとはいえない。この平均寿命と健康寿命の乖離は問題で、同じ先進国でもこの乖離が2〜3年である国があるのに対し、日本では7〜10年の乖離があると堤氏は指摘する。
食育基本法は平成17年に施行され、私たちの多くが食育という言葉や内容を理解しているが、しかしこれが実際に実行されているかといえば別の問題であり、食育、食事、栄養の知識は十分にあるが、実際に実践できない、していないという点が現在の食に関する大きな問題であると堤氏はいう。
食育とは知識を啓蒙したり学んだりするだけでなく、それを実践できる人を育むことであり、現在、私たちは食育の啓蒙から定着を目指す時期にきている。なかでも子どもの視点からみる「食」の問題に「朝食の欠食」があるという。
朝食を欠食する子どもと、朝食をしっかり食べている子どもでは、後者のほうが、学力や運動能力が向上し、集中力なども高いことは多くのデータが公表されていることからも明らかとなっている。にもかかわらず、朝食を欠食する児童が減らないのは、「なぜ朝食を食べなければいけないのか」をきちんと理解していない大人が多くいることが原因であるのではないかと、堤氏は指摘する。
朝食欠食は学力や運動脳力、精神面(キレやすい、鬱になりやすいなど)にも大きな影響を与えていることが明らかとなっているが、低体温症や、肥満、不定愁訴などの原因とも関連しているといわれる。
子どもの食育と共に、大人自身が正しい食の知識を学び、習慣にしていかなければ、なかなか子どもの実践レベルには繋がらないと堤氏。大人であっても朝食をきちんと摂る、ということが生活リズムの改善にもつながる。まずは大人から食事のリズムを正しく見直し、そして食べ物を適切に選ぶことを実践しなければならないとまとめた。
成人・高齢者の「健康」医学
埼玉医科大学総合医療センター 神経内科・ER 准教授
大貫 学氏
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食生活の見直しや正しい食生活の実践は究極の予防医学
成人あるいは高齢者の「健康」を考えるとき、まだまだ国内では「高齢者はどのような病気になりやすいか?」「どのような治療をすればいいのか?」と議論してしまう傾向がある。
しかし本来の「健康医学」的な味方からすると、真の「健康」とは究極の「予防医学」を追求することであり、「疾患予防」は当然のことであるが、いかに病気になりにくい体をつくるか、に全てがかかっているといっても過言ではないと大貫氏はいう。
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