【 2004/10 】

n-3脂肪酸、心臓病など各種疾患に果たす役割評価

9月に、米国では、FDA(食品医薬品局)が魚油に多く含まれるn-3脂肪酸のドコ サヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)が心疾患のリスク低下に役立つと して、関連製品に「EPAとDHA摂取が心臓病の危険性減少の一助となるという研究成果を支持する」 といった内容の表示を許可、n-3脂肪酸の有用性を認知した。世界でもトップの長寿を誇る日本の伝統食ともいえる魚の機能性成分が評価された格好だ。

10月21日に、DHA・EPA協議会主催の公開講演会「健康と脂質の働き-栄養・休養・運動」が開催されたが、ここでも、DHA・EPAの機能性について、菊川清美氏(東京薬科大学薬学部教授)、小林哲幸氏(お茶の水女子大学理学部生物学科助教授)らが最新の研究成果を報告。この中で、菊川氏は、n−3脂肪酸の酸化的ストレスを抑制する働きを発表。また小林氏は、n−3脂肪酸の生活習慣病予防に果たす役割など報告している(参照:食品の機能性NEWS)。

n-3脂肪酸の有用性については、これまでにも脳機能改善、心疾患、抗鬱、抗アレルギー、視覚改善、血圧低下など幅広い働きがあることが報告されている。
とくに高齢化時代の到来を向かえ、アルツハイマー症や前立腺がんといった疾患の増加が懸念されているが、こうした症状の予防・改善についてもn-3脂肪酸の役割が期待されている。

Neuron'04/9月2日号に掲載された記事によると、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究グループが、マウスにn-3脂肪酸のDHAを抜き、代わりにn-6脂肪酸を混入したエサを与え、その後半数にこのエサを与え続け、残り半数にDHA入りのエサを与えたところ、DHAを抜いた グループには、アルツハイマー症と同様の病変が現れたが、DHA入りのグループでは、脳機能は変わらず維持、記憶テストのスコアも良かったと報告している。

また、前立腺がんに関する最近の報告では、American Journal of Clinical Nutrition'04/7月号に掲載された記事によると、US National Cancer Institute、 ハーバード大学、Karolinska Instituteによる研究で、40歳から75歳の 47,866人を対象に食習慣などを調べたところ、14年間の研究期間中に、 新たに前立腺がんと診断された症例は2,965例、進行がんは448例あったが、 n-3脂肪酸のEPA、DHAを最も多く摂取したグループ は、前立腺がんの危険性が11%、進行がんの危険性は26%低下したと報告している。

この他にも、喘息リスクの高い子どもの咳予防にも役立つという研究報告が、Journal of Allergy & Clinical Immunology'04/10月号に掲載されている。


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