1982年以降、農水省が10カ年計画で研究・開発。血圧・コレステロールの調整など多様な機能性
キチン・キトサンはカニやエビの甲羅などから抽出される成分です。甲殻にはキチン、炭酸カルシウム、タンパク質などの成分が含まれますが、キトサンについては、一般的に希塩酸でカルシウムを除去し、苛性ソーダでタンパク質を除去し、さらに脱アセチル化を行なうといった化学的処理で造り出されます。
キチン・キトサンの有用性については、1)血圧、コレステロールの調整、2)免疫力の向上、3)食物繊維としての働きで、腸内有用菌を増殖、4)自律神経の調節-などがこれまでに確認されています。
ギリシャ語で「封筒」を意味する「キチン」は1823年にフランスの科学者オジールにより命名されました。また、1859にはユーゲにより「キトサン」が発見されました。そして、1977年には第1回キチン・キトサン会議が米国で開催され、世界的に注目を浴びるようになりました。日本では1982年に農水省の「未利用生物資源・バイオマス」開発10カ年計画でキチン・キトサンの研究がスタート。また1985年には文部省が約60億円を投じ、全国13の大学でキチン・キトサンの基礎・応用研究が奨励されました。
以降、キチン・キトサンの研究は急速に進展し、1986年には鳥取大の平野教授が、動物実験で血中コレステロール及び中性脂肪値の減少効果を確認、1992年には水産庁の依頼により、愛媛大学の奥田教授らが食塩摂取による血圧上昇抑制効果を発表、また同年チェリノブイリ原発爆発による放射能後遺症に対する臨床研究を開始、1993年には国立健康・栄養研究所が人体でのコレステロール低下作用を確認するなど、生活習慣病対策に欠かせない機能性素材として認知されつつあります。