海のカロチノイド色素。強力な抗酸化力、高い安定性
アスタキサンチンは、エビやカニ、鮭など多くの水棲動物が持つ赤色のカロチノイド色素。通常は赤くはありませんが、調理の際、熱でエビの殻が赤みをおびるのはアスタキサンチンの反応のためです。表面のアスタキサンチンは熱で1割ほど失われますが、内部は損失が少なく加熱による変化はほとんどありません。
アスタキサンチンの特性として、強力な抗酸化作用が知られます。β-カロチンの10倍以上、ビタミンEの100~500倍以上ともいわれます。活性酸素消去能は、β-カロチンよりも優れ、高い安定性を持つといわれます。また、抗炎症作用についも、ビタミンEを上回るとされています。
アスタキサンチンは日本での研究が多く、1930年代に化学構造が解明されています。特に、その生理活性作用が注目されるようになったのは1980年代の後半。日本よりむしろ米国で原料の開発やサプリメントの製品化が進められました。
アスタキサンチンの作用としては、免疫システムの強化、がん予防、加齢黄班変性症の予防、アルツハイマー症の緩和、ヘリコバクター感染の予防、視覚機能の保護などです。一頃、時差ボケの解消でメラトニンが米国でブームになりましたが、アスタキサンチンにも、そうした作用があることも報告されています。
アスタキサンチンには天然物と合成品がありますが、合成品は天然品に比べ、およそ30%ほどの抗酸化力といわれます。