ビタミンEの数十倍といわれる抗酸化力。メラニン合成阻害活性による美白作用も報告
トコトリエノールはビタミンE群(α、β、γ、δ-トコフェロール・α、β、γ、δ-トコトリエノール)の一つで、米ヌカ、大麦、小麦胚芽などの食品中にわずかに含まれている。これまでその有効性が十分に活かされることがなかったが、近年、米ヌカ油やパーム油などから抽出・精製して得られるようになり、トコトリエノールの機能性を訴求した商品の開発が進んでいる。
トコトリエノールの有効性については、血圧低下、コレステロール低下、頚動脈狭窄、高脂血症、抗ガン、メラニン合成阻害活性による美白などの作用が報告されている。こうした研究論文のほとんどがパーム油由来のトコトリエノールによるもので、パーム油はとくに高い機能性が期待されるδ-トコトリエノールを多く含むとされる。
トコトリエノールはビタミンEの数十倍といわれるほど抗酸化力が強いことが特長。マウスの皮膚に高含有のパーム油由来のトコトリエノールを塗布し、紫外線照射前後で皮膚中の抗酸化物質の量を比較した試験では、皮膚に紫外線を照射すると、すべての同属体は顕著に減少したが、トコトリエノールを塗布した部位は他と比べてビタミンE同属体の残存率が低いことが確認されている。
トコトリエノールの作用で注目されているのがメラニンの合成阻害。肌へのメラニン色素の沈着を防ぐことが報告されている。メラニン合成モデル細胞としてマウスB16メラノーマ細胞を用いた実験では、メラニン合成阻害活性を検討した結果、用量依存的にメラニン合成阻害活性を示したことが報告されている。
また、トコトリエノールを含む皮膚外用剤を用いた実験では、有色モルモット(各群5匹)の背部体毛をバリカン及びシェーバーで剃毛し、日1回、計8回の紫外線照射を行い、色素沈着の作製を行った。照射開始日より、被験試料を1日1回週5回の割合で6週間塗布し、週1回色素沈着の明度変化を評価した。これにより、どの程度、紫外線照射前の色素沈着のない皮膚色に近づいているかについて、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、パーム油トコトリエノールのそれぞれの組成の外用剤でみたところ、パーム油トコトリエノール組成のものが最も明度差が高く、他のものに比べて著効を示したことも確認された。
さまざまな機能性が明らかになりつつあるトコトリエノールだが、通常の食品からの摂取では有効性がほとんど期待できないとされる。仮に、食餌で有効性が期待できるトコトリエノールを摂るとするならば、1日当りコップ1杯のパーム油が必要といわれる。トコトリエノール含有の栄養補助剤からの摂取だと1日に20-60mgが推奨されている。