ラテン語で「死から救う」、1900年まで米薬局方に正式に記載。記憶力・認識力改善の有効性で注目
セージ(学名:Salvia Officinalis)は香りの高い葉を持つシソ科の多年草植物。原産地は地中海沿岸地域ですが、現在は北米を中心に生育しています。
名前の由来は「死から救う」という意味のラテン語で、イギリスでは「長生きをしたければセージを食べろ」といわれ、民間療法でも古く用いられてきました。
防腐、抗菌、抗酸化、抗炎症、神経組織の強化、記憶力増進などの有用性で知られ、多汗、潰瘍、出血、美肌、過労、風邪、リウマチ、生理時の不快な症状の緩和など、さまざまな治療に応用されています。
セージは1840年から1900年まで米薬局方に正式に記載されています。含有成分はアルファおよびベータ・ツヨン(thujone)、カンファー(camphor)、シネオール(cineole)などです。
また、ロズマリン酸、タンニン、フラボノイドも含まれています。現代のヨーロッパ薬草学では、咽喉の痛みや口内の炎症、歯肉炎などの治療としてセージ茶でうがいをすることを薦めています。実験でもセージの抗菌作用、抗ウィルス作用が認められています。
また、ドイツにおいて多汗や胃の不調緩和への使用が認可されています。汗かきの人を対象にした研究では、乾燥葉抽出物あるいは葉の煎じ茶を与えたところ、発汗が50%抑えられたと報告されています。さらに、イギリスでは、ハーバリストたちがほてりのような更年期障害にセージを薦めているといいます。
セージは現代医学では一部の研究報告を除いてまだ十分な裏付けがないとされ懐疑的ですが、古い文献によるとセージは記憶力減退に歯止めをかけるとして、アルツハイマー疾患など記憶・認識力に関わる疾患への有効性が報告されています。
例えば、16世紀、イギリスのハーバリスト、ジョン・ジェラードは論文の中でセージに関して「頭脳に効果のあるハーブで、神経の反応や記憶力を良くする」と述べています(1597年)。また、イギリスの医師、ニコラス・カルペパーは「セージは記憶を改善し感覚を鋭くする」としています(1652年)。
2003年10月、Pharmacology, Biochemistry and Behaviourに掲載されたイギリスの研究では、セージはアルツハイマー疾患の治療に有望であると報告されています。
セージの使用で重篤な副作用はこれまで報告されていませんが、成分のツヨンは少量でも常用すると心拍数の増加や意識混濁の危険性が指摘されています。また多量に摂取すると、痙攣を起こすことが懸念されており、用量を必ず守ることや妊婦の使用には注意とされています。