興奮剤として世界中で愛用も、エフェドラとの併用で注意喚起。欧州で盛んに研究。中枢神経系を刺激し、注意力を促進
日本でも強壮・興奮作用でよく知られ、愛用者も多いガラナ。ガラナ(Guarana)の属名はPaulliniaで、この属名は、1712年に没したドイツの薬草学者、C.F. Paulliniにちなんで付けられたといわれています。
ガラナは、アマゾン、特にマナウス辺りが原産です。実は小さくて丸く、明るい赤色をし、成育すると12メートルほどの高さになります。
実は熟した後、種をローストし水と混ぜペースト状や食品に加工にしたり、ドリンクにされます。味は多少の苦味があります。
ガラナは、古くから、熱帯雨林系の先住民が興奮剤、鎮静剤として愛用してきました。また、下痢や頭痛、疲労などの治療にも使われてきました。
現在、ガラナは世界中で愛用されていますが、ガラナ製品の80%はアマゾンの熱帯雨林地域のものを使用しています。特に、ブラジルの国民的飲料でもある“ガラナソーダ”の主要成分であることは広く知られています。
ガラナの研究が始まったのは1940年代頃。主にフランス、ドイツで盛んに行われました。興奮剤としてや熱発生効果を期待しての使用が主でしたが、米国では精神作用の促進やスタミナ、耐久力の増進で使われていました。
またブラジルでは熱による疲労からの回復、肥満、老化防止などに、ペルーでは、その種が下痢、心臓病、神経痛など広く使われていました。
ガラナ種の成分が科学的に調べられたのは1700年代で、ドイツの薬草学者、Theodore Von Martiusが苦味のある白いクリスタル状の物質を単離、guaranineと名づけました。後に、これはカフェインとして知られるようになります。
ガラナの種には、カフェインが4~8%(25000~75000ppm)、テオフィリン(500~750ppm)、テオブロミン(300~500ppm)、テルペン、タンニンなどが含まれています。カフェイン、テオフィリン、テオブロミンはキサンチン・アルカロイドといい、これが治療作用を行う中心的物質と考えられています。
臨床研究によると、テオフィリンは心筋層や中枢神経系を刺激して、注意力を促進し、疲れを和らげるとされています。テオブロミンにも同じ作用が見られます。カフェインには同じ働きの他、脂肪燃焼を助ける作用も報告されています。
米国では1989年、ガラナ種のエキスが哺乳類の凝血作用を阻止する可能性に対して特許が提出されています。申請理由の説明として、ガラナには凝血塊形成を防ぎ、すでに形成された凝血塊を溶解する働きがあるとしています。さらに1991年にも、ブラジルの研究者グループが抗凝集作用で同じく特許を提出しています。
1997年に行われたin vivro研究では、ラットにガラナを与えたところ、ストレスにさらされた中で、継続的な投与だけでなく一回のみでも肉体的耐久力が増強し記憶力も向上したことが報告されています。
この他、1997年の研究では、ガラナが頭痛緩和だけでなく、神経痛、腰痛、リューマチにも有効性を発揮することが明らかになっています。また、抗菌作用も確認され、大腸菌やサルモネラ菌の殺菌にも効果をあげることが示されています。
一方で、ガラナに関して、注意喚起も行われています。2003年4月、OB/GYNニュースに掲載された調査によると、米国毒物コントロール・センターでサプリメントによる有害事例報告として2,332件を受けており、うち741件は副作用症状が見られるものであったといいます。
米国でダイエット成分、エフェドラ配合の製品を摂り、メジャーリーガーが死亡したという事件がありますが、その際、ガラナおよびエフェドラが含有されたサプリメントの使用で中毒症が疑われる事例が報告されています。
犬を使った研究で、1997年7月から1999年10月までにエフェドラとガラナを成分としたサプリメントを47匹の犬に注入したところ、注入8時間後に80%に中毒症状が現れ、48時間継続したといいます。