婦人科関連の不調に古くから使用。更年期障害による自律神経失調や身体的不調を改善
Black cohosh(コホッシュ=キンポウゲ科サラシナショウマ属)はラテン名Cimicifuga racemosaといいます。主にオンタリオからメイン州にかけてのカナダ、北米に生育しますが、現在はヨーロッパでも栽培されています。
先住民のインディアンが主に根の部分を、腎臓障害やマラリア、リューマチ、のどの痛み、婦人科関連の不調に古くから使われてきました。また、ガラガラ蛇に噛まれた傷の手当てにも使用されたといわれています。
1840年代には、折衷派医学の医師たちが、特にリューマチ関連の疾患に愛用したといいます。コホッシュを主成分にした調合剤はいろいろありますが、古いところで有名なのが19世紀初期のLydia Pinkhamの「Vegetable Compound」です。女性たちが主に、生理不調や神経緩和に使用していました。
コホッシュは内分泌制御システムの機能に影響を与えるもので、女性ホルモンのエストロゲン、エストリオールと似たような効果を与えます。少しの間、エストロゲン受容体と結合すると考えられています。そのため、女性に多い疾患や不調の緩和に使われています。
コホッシュの主な成分は、triterpene glycosides、formononetinなどのイソフラボン、オレイン酸、パルミチン酸、サルチル酸、ヘスペリチン酸、タンニン、揮発油などです。
各成分の働きに関する詳細はまだはっきりしませんが、主成分はtriterpene glycosidesと考えられています。
コホッシュ・エキスの有効性研究はこれまでにも多く行われています。ホルモン治療(HRT)とコホッシュ療法とを比較する場合、主に使われるコホッシュ製品がドイツ、Shaper & BrummerのRemifeminR。
コホッシュ・エキスの研究では、50人に同じくRemifeminを40滴、1日2回与えたところ、治療グループで、自律神経や身体的症状にかなりの改善が見られたといいます。
さらに、1985年行われたRemifeminの有効性を調べる研究では、ホルモン治療との比較がされています。
患者60人に対してRemifemin(40滴、1日2回)、共役エストロゲン(1日0.625mg)、diazepam(1日2mg)を与えたところ、Remifeminグループは、鬱症状や不安感に関して、共役エストロゲン・グループ、diazepamグループより数段有効性が高く、これにより、研究者は、更年期障害症状治療については、Remifeminが優れていると結論付けています。
この他、1997年に行われた研究では、閉経期前、閉経期に近い、閉経期後でそれぞれ自律神経失調を訴える患者911人を対象に調べていますが、それによると、コホッシュとセントジョンズ・ワートを併用した場合、更年期障害の鬱病などの精神的症状緩和と鎮静作用にかなりの有効性を示したといいます。
また、毒性の影響を調べる研究では、ラットにRemifeminを体重1kあたり5000mg、26週間に渡って与えたが、有害の影響は見られなかったといいます。
ヒトに対しての有害な影響については、今後より深い研究が必要であるとしています。一般的には注意事項として、多量の服用(根を5gあるいは大さじ1)すると、吐き気、頭痛、めまいなどを起こすことが警告されています。