1930年代にドイツのハーブの権威が研究開始。1980年代、風邪の症状緩和などで米国で人気
エキナセアは、一般名を「ハンゴンソウ(Coneflower)」といい、北米の草原、牧場などでデイジーに似た花を咲かせます。
このハンゴンソウという名は、花の形が刺のようになるところからギリシャ語のウニ、ハリネズミの意味に当る「echinos」からつけられています。
エキナセアの種類には、Echinacea purpurea、Echinacea angustifolia、Echinaceapallida、Echinacea simulata、Echinacea paradoxa、Echinacea tennesseensisなどがあります。
古くから、アメリカ原住民が風邪や傷の手当で使用しており、1870年代に入ると、ネブラスカの医師が「血液浄化」や蛇の噛み傷治療などに用いています。
1887年には、「The American Dispensatory」の著者、ジョン・キング医師が医学療法として紹介し、以来19世紀末まで公的にも広く愛用されるようになりました。
しかし、20世紀に入り、現代医学が目覚しい進歩を辿ると、科学的な裏付けのない治療法は急速に現場から消えていき、エキナセアも同様の運命を辿ることになります。
さらに1910年に、American Medical Association(AMA)が紙上でエキナセアの効力に疑問をはさんだことから、医療関係者も使用を控えるようになります。
その後1930年代に入って、ドイツのハーブ医療の権威、ゲルハルト・マダウス(Gerhard Madaus)医師がエキナセア(Echinacea angustifolia=ヨーロッパではこの種が主に使用されていた)の種を探しに渡米し、別のEchinacea purpureaを持ち帰ったことで、同種の研究が盛んに行われるようになりました。
米国でのエキナセアの使用は一旦収まりますが、ヨーロッパでは変わらず愛用され、ドイツのThe German Commission E(米国のFDA・食品医薬品局にあたる)は1989年、Echinacea purpureaを正式に承認しました。さらに、1992年8月29日に、Echinacea pallida radix(root)も承認しました。
ドイツ国内では1994年の時点で300以上のエキナセア関連商品が販売され、医師も250万件以上の処方箋を書いているといわれています。
米国でエキナセア人気が再燃したのは1980年代に入ってから、風邪の症状緩和を指摘した研究結果が発表されて以降です。
1998年にJournal of American Medical Associationに掲載された、呼吸器官感染予防に関する二重盲検、プラセボ対照、無作為研究で、急性疾患を持たない被験者302人を対象にした研究で、被験者はE. purpurea、E.angustifoliaのエキス、あるいはプラセボが12週間与えられました。
最初に呼吸器官感染の兆候が見られるまでの期間を調べたところ、E. angustifoliaグループでは66日、E. purpureaグループで69日、プラセボ・グループは65日でした。プラセボ・グループでは36.7%が感染を起こし、E. purpureaグループは29.3%、 E.angustifoliaグループは32.0%でした。
また、呼吸器感染を繰り返し起こす患者108人を調べた別の研究でも、再発の危険性を14%減少させることが報告されました。