古くから消化器官の症状改善で使用。LDL(悪玉)コレステロールの酸化抑制が報告
アーティチョーク(Cynara scolymus)は南ヨーロッパ、北アフリカ、カナリア諸島などを原産とする植物で、主に葉が薬用として使われ、根および若い花の部分にも、薬効成分が含まれるものと考えられています。
薬用としての利用の歴史は古く、古代エジプトの文献にも記録や絵画が残っており、古代ギリシャやローマでも、消化器官の症状改善で用いられています。
また、16世紀のヨーロッパでは食材としても利用されましたが、どちらかというと王家や金持ちが食する「高貴」な食材という扱いでした。
アーティチョークが初めて栽培されたのはエチオピアで、その後、エジプトからヨーロッパへと伝えられました。
20世紀前半に、フランスの科学者らが古代人のアーティチョークの利用に注目し、薬効を調べる研究材料として取り上げ始ました。
また20世紀半ばには、イタリアの科学者がアーティチョークの活性成分の抽出に成功、19050年代から1980年代にかけては、活性成分を合成したものが薬剤にも使用されるようになりました。
アーティチョークの含有成分には、1,3-ジカフェイルキニン酸(シナリン)、3-カフェイルキニン酸、フラボノイド(スコルモシド、ルテオリンなど)、糖類、マンガン、マグネシウム、カルシウム、その他多くの抗酸化剤が挙がっています。
主な薬効には、消化不良緩和、胆汁分泌促進、コレステロールあるいはトリグリセリド値低下作用などが報告されています。
シナリンが活性成分とされるコレステロール低下作用では、余分なコレステロールを吸収せずに排出すると考えられています。
また、ある研究で、被験者に標準化エキスを900~1,920mg/日与えたところ、コレステロールおよびトリグリセリド値が著しく低下したことが分っています。
2000年、ドイツで行われた研究では、高コレステロール値を示す患者143人を対象に、被験者にアーティチョークエキス(1,800mg)か、プラセボを与えたところ、アーティチョークグループでは、総コレステロール値が18.5%、プラセボグループでは8.6%低下したことが報告されています。
また、LDL(悪玉)コレステロール値はそれぞれ23%、6%低下。LDL対HDL(善玉)コレステロール比率はそれぞれ20%、7%低下したといいます。
2000年、ドイツで行われた研究でも、さらに、フラボノイドのルテオリンがLDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑制することが報告されています。
食後に軽い消化不良を起こす患者を対象にしたドイツの研究では、553人に標準化アーティチョークエキスを320~640mg、1日3回与えたところ、被験者の70%以上で、吐き気、腹痛、便秘といった症状の緩和が報告されています。
ヨーロッパでは、消化不良の原因の多くが胆嚢からの胆汁分泌がうまくいかないためと考えられていますが、アーティチョークは胆汁分泌促進作用があることから、消化不良の症状緩和に有効であるとされています。
さらに、アーティチョークには肝臓保護の作用も報告されており、ある研究ではシナリンが健康体被験者の肝臓細胞の増殖および再生を助けたといいます。