血管を拡張、血流を良くし、循環器系を健全化。葉、花、実のどれもが同様の薬効を持つ
ホーソン(Crataegusグループ)は、ヨーロッパ、北米、北アフリカなど世界各地で生育するバラ科の落葉性低木です。最大で1.5mほど生育し、5月には花を咲かせます。
ヨーロッパでは、中世の頃、悪魔が家へ入り込むのを防ぐため玄関ドアに下げたといわれます。古代ギリシャでは、希望と幸福の象徴として、またローマでは魔よけとして愛されてきまた。
紀元1世紀に、ギリシャの薬草学者、Dioscoridesが様々な症状に使用したことが報告されていますが、アメリカでは1800年代になって、呼吸器系や循 環器系疾患への有効性が認められ使われ始めました。
ホーソンの葉、花、実のどれもが同様の薬効を持ち薬用となりますが、薬効の高い順に花、葉、実だと考えられています。ただ、薬草学者には強ければ良い物という考えはなく、副作用などが少なく使いやすい点を考慮して、実の利用に人気が集まっていいます。
ホーソンの活性成分はフラボノイド類で、特にOPCポリフェノールが高い抗酸化効果を引き出します。その他、vitexin、vitexin 4’-O-rhamnoside、ケラセチン、hyperosideが含まれています。
このフラボノイドが血管を拡張し、血流を良くすると考えられることから、循環器系、特に心臓の健康維持に多く用いられてきました。
心不全への有効性を調べた研究6件を分析した調査では、6件のうち4件でホーソンが心臓機能を改善したことを指摘しています。
また、3件では、患者の運動能力回復を示しています。ある研究では、被験者にホーソンエキスを900mg/日、2ヶ月にわたって与えたところ、心不全の症状を改善し、薬剤captroprilの少量投薬と同じ有効性を示したことが分かりました。
また、ステージIIにある心不全患者にホーソンエキス160~900mg/日を与えた研究では、4週間後、息切れや過労などの症状が無く運動ができるようになったということを報告しています。
心不全患者143人を対象にした研究でも、被験者にホーソ ンベリーを1日3回、8週間与え、プラセボグループと比較したところ、ホーソング ループでは、過労や息切れという症状が軽減したことを指摘しています。
また、アテローム性動脈硬化に対する有効性が報告されています。動物を使った研究によると、ホーソン の抗酸化効果で血栓の形成が防げ、酸素の豊富な血液供給が改善されたといいます。
また、アンギナなど胸の痛みの改善にも期待が寄せられています。ある研究では、アンギナ患者60人にホーソンのベリー/葉/花のエキスを180mg/日を与え、プラセボグループと比較しました。
この結果、3週間でホーソングループは心臓への血流を良くし、 胸の痛みがない時間の延長に成功させました。その他、高血圧症に対する研究では、軽度の高血圧症患者の血圧低下を指摘し、高コレステロール症では抗酸化作用の働きで、特に「悪玉」コレステロール値の低下に力を発揮することが報告されています。