喘息や鼻炎、皮膚反応などアレルギー症状での有用性が期待。主にアレルゲンが研究テーマに
ラグウィード(ブタクサ=Ambrosia artemisiifolia)は北米原産のキク科1年草本で、成長すると高さは1.5mほどになります。
8月頃から花をつけますが、花粉を多数作り、これが風を介して周囲にまかれ、花粉症を引き起こすとされています。
北米の先住民は、ラグウィードをつぶしたものを、外用として虫刺され、感染、皮膚炎などに、内用ではお茶に煎じ、腹部の痙攣、便秘、嘔吐、発熱などの対処薬として使用していました。しかしながら、近年、花粉症やアレルギー性鼻炎を起こす原因として、悪者になった感もあります。
ラグウィードはチンキ剤の形で、肝臓強壮剤、消化促進などで用いられています。
ラグウィードの成分はこれまで51種が確認されていますが、その主なものにはゲルマクレンD(24.1%)、リモネン(16.83%)、アルファピネン(8.0%)、ミルセン(7.4%)などが挙がっています。
ラグウィードの肝臓強壮剤や消化器官の働きを促進させるという効用は、霊能者、エドガー・ケーシーのリーディングに言い表されていますが、学術的に研究テーマとなっているのはアレルゲン性作用に関するものばかりで、肝臓や消化器官に関する文献はほとんど見当たらないといいます。
ただ、抗菌作用についてのある研究では、最適化したラグウィードの調合を有害バクテリア、ブドウ球菌または大腸菌に加え、抗生物質2種、セフォタキシム、およびアミカシンを加えたものと、その経過を比較しています。
比較では、ラグウィードあるいは、抗生物質の菌に対する抑制ゾーンの大きさを使いました。この結果、ラグウィードは抗生物質と匹敵する抗菌作用を示したことが分かりました。
一方、ラグウィードを使った免疫療法の安全性および有効性を調べる研究は多く行われていますが、イタリアの研究者グループらが行った研究では、鼻結膜炎および/あるいは喘息、ラグウィードに過敏な患者で、23~60歳の男女(平均年齢36.78歳)32人を対象にしました。
被験者にはラグウィード(7.2マイクログラム)を4週間のインターバルで投与しました。研究は無作為、二重盲検、プラセボ対照で、1年続行しました。最終的に23人が研究を終了し、有害事象は報告されませんでした。
この結果、全体的に、ラグウィードグループでは、喘息症状、鼻炎症状、皮膚反応などアレルギー性症状の改善が見られました。
一方のプラセボグループには、改善は見られず、鼻炎および喘息症状の日数が、ラグウィードグループに比べかなり多くありました。
また、プラセボからラグウィードに替えたグループでは、鼻結膜炎、喘息、薬剤摂取が改善したことが分かりました。
さらに、University of Cincinnati研究者グループが行った、経口免疫療法の有効性を調べる研究では、新技術でマイクロカプセル化したショートラグウィード花粉エキスを使いました。ラグウィード花粉に過敏な患者9人にマイクロカプセルを与え、与えなかった患者9人と比較しました。
その結果、治療グループのIgGおよびIgE濃度は高くなりましたが、IgEの季節的増大は調整されたことが分かりました。臨床的にも、治療グループは治療を受けなかったグループに比べ、季節的に症状が改善されたと報告しています。
チンキ剤の形で薦められる用量は、食事の30分前ほどに茶さじ1杯程度。2~3日続けてから中止して、ある期間様子を見るようアドバイスされています。