2019年1月23日(水)~25日(金)、東京ビッグサイトにて「第37回 健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、持田 騎一郎氏(機能性表示食品検定協会)の講演「機能性表示の不備指摘対応方法」を取り上げる。
機能性表示食品、売り上げが4~7倍の企業も
2015年よりスタートした「機能性表示食品制度」。効果・効能がある程度謳えることから、食品関連企業にとっては非常に魅力的な制度となっている。
制度開始から、すでに1600商品以上が機能性表示食品として認められている(2018年12月末現在)。
機能性表示食品にしたことで、商品の売り上げが4~7倍に増えている企業も少なくなく、今後も受理を目指す企業は増え続けるであろうと持田氏。
制度がスタートして3年経過するが、人気のある機能性成分トップ10はほぼ変動がない。難消化性デキストリンやGABA、DHA・EPA、乳酸菌関連、ルテインなどが上位を占めている。
しかし、「新規成分は受理されにくい」のかといえばそうでもなく、最近では「アンぺロプシンとキトサン」が「高めの尿酸値を下げる」で認められている。
また、以前から人気のGABAも、これまでの「血圧、ストレス軽減、睡眠の質の改善」という3つのSR(システマティックレビュー)に加え、4つ目の「活気活力」が認められ話題となっている。
ただ、どの成分においても、製品のターゲット層やパッケージ表記が「病者」を想起させたり、あるいは「病者」に該当しないかは変わらず厳しくチェックされていると持田氏。
生鮮食品にも機能性表示が可能
また、生鮮食品に機能性表示ができるというのがこの制度の大きな魅力の一つでもある。
野菜では「もやし、ほうれん草」、果物では「みかん」、鮮魚では「ハマチ」が認められており、今は精肉での届け出が期待されている。
GABAの事例のように、認められるヘルスクレームが増えた成分で、すでに加工に届け出受理されている商品が、商品名を変えて「リニューアル」され「再届け出・受理」されているケースもある(現在の機能性表示食品制度では、同じ商品で再届けできない)。
少しでも魅力的なヘルスクレームをパッケージに記載することで、商品の差別化や付加価値アップを図り、リニューアルをかけた方が効果的と考える企業もあるからだ。
「痩身」想起の商品名やイラストで「不備指摘」
「不備指摘」されるケースもほぼほぼ固まってきている。「商品名」でNGが出る場合は、ほとんどが「ダイエット」「スリム」といった「痩身」を想起させるようなものやイラストで、特に写真が使用されているものは確実に「不備指摘」される。
また、野菜ジュースの中では知名度も高く人気商品である「充実野菜」は、商品名に原材料名(=野菜)が入っているが、原材料に関与成分が入ってない場合(例えば、野菜には関与成分の難消化性デキストリンなどが入っているわけではなく、関与成分は別途添加している)商品名を変えて、機能性関与成分も別途記載する必要があり、対象商品は「ヘルシープラス 充実野菜」に名前をリニューアルして届け出受理となった。
「関与成分」でNGが出るケースは、「ビタミン、ミネラル」といった栄養機能食品の成分が優位な場合やタウリン、SAMeなど医薬品成分の場合に不備指摘されるケースが多い。
ダイエットやバストアップは受理が難しい
また、「不必要な健康増進」を煽る文言として「ダイエット、スリム」はNG(内臓脂肪、BMI、お腹の周囲径、体重の低減はOK)、バストアップ・バストのハリ・バストのたるみ防止といったバスト関連、肌関連(しわ・ハリ・美白)、育毛関連(増毛・美毛・育毛)、滋養強壮、血液サラサラ、などは制度スタート当初から一貫して受理されず、今後も受理を目指すのは厳しいだろうと持田氏。
頻尿・更年期障害系も「病者扱い」になるためやはり今後も難しく、グルコサミンやHMBなど撤回があったものは「群間有意差」が明確でなかったことが撤回理由ではないか、という。
このように制度として固まってきた部分と進化している部分とあるが、引き続き企業は制度について理解し、効果的に活用すれば、まだまだ売り上げアップにつながるのではないかとまとめた。