2019年1月23日(水)~25日(金)、東京ビッグサイトにて「第37回 健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、薬事法ドットコム の講演「健食プレイヤー必聴の水面下の最新情報」を取り上げる。
徴金、対象商品の売り上げの3%
今年度から薬機法においても課徴金制度が始まることが確定している。
まだスタート日や課徴金に関する詳細など未確定の部分が多いが、すでに景表法では課徴金制度が進められ、1社が一度に8000万円以上の課徴金を払った事例なども話題となっている。
そのため、各関連企業は「薬機法違反」に対しても今一度気を引き締めるべきであろう、と話す。
薬機法違反の措置命令と課徴金命令のフローについては現時点で未確定な部分が多いが、それでも「景表法」の事例を参考にすればある程度の予測ができるのではないか。
ちなみに景表法で措置命令が下されるまでのフローは次の通り。「警告メール→消費者庁や自治体による調査開始→合理的根拠提出要求(通常2週間以内)→ 行政判断(半年以内)→弁明の機会→措置命令→課徴金」というのが一般的である。
最近は警告メールが来ないケースもあるのでより注意が必要となる。また弁明の機会で指導が覆った事例は過去にないという。課徴金は対象商品の売り上げの3%と企業に与える影響も甚大である。
化粧品も同様に締め付けがより厳しく
このフローがベースとなり、薬機法違反の措置命令と課徴金制度もスタートすることが想定される。まずは景表法で措置命令がなされたケースを頭に入れておくと良い。
薬機法の場合、そもそも対象商品が「化粧品、医薬部外品、医薬品、医療機器」だが、治療的効果や治癒的効果など肉体の改造効果を表示することは許されておらず、それを行った場合「未承認の医薬品扱い」で薬機法違反となることを今一度頭に入れておく必要がある。
今年からより強化される薬機法違反についても、「未承認の医薬品」における取り締まりが強化されるであろう。また化粧品についても同様で、化粧品には表示できる効果効能56項目が法律で定められているが、それを逸脱するとNGで、締め付けはより厳しくなるのではないかと考えられる。
改善命令→課徴金、という流れか
例えば、よく知られているが、「ほうれい線が消える」「シミが消えた」「毛が生えた(発毛効果)」などは認められた効果・効能の範囲を超えているため、薬機法違反となることが明確だが、これらの表示がある商品が普通に見られるため、心当たりがある企業はより注意しなければならない。
ちなみに薬機法の管轄は厚労省と自治体だが、広告に関する問題や指摘はこれまでほぼ自治体が行ってきた。
これまで、薬機法の指導は、「主に自治体から指導が入り、自治体に呼ばれ、違反の指摘・指導、そして修正と始末書」というのが一般的な流れであった。
今後は「修正と始末書」では済まず、「改善命令と課徴金」という流れが予測されるが、おそらく「課徴金」まで命じられるケースは「よほどの悪質広告」か「繰り返し違反が見られる」ケースなどではないか、と推測される。
「勝てるエビデンスづくり」が重要
景表法は消費者庁が管理しているが、課徴金の徴収以外の「警告メールから措置命令」までは自治体でも行えることになっている。
とはいえ、かつて措置命令を出した実績のある都道府県は、北海道、栃木、埼玉、東京、長野、岐阜、静岡、大阪、兵庫、広島、福岡で、これらは指導の体制が整っていることを意味する。つまりこれらの都道府県に本社を置く関連企業は薬機法違反においてもより注意が必要となる。
薬機法・景表法、いずれも違反とならないためにはルールをよく理解することと「勝てるエビデンスづくり」を行うことが何より重要であろう。
具体的には「臨床試験が行われていて統計的有意差が得られていること」「臨床試験は2群で行われていること」「結果が査読付き論文投稿されていること」「第三者機関によってもエビデンスが認められること」などが「勝てるエビデンス」となる。
実態のない「○○○賞受賞」や「医師・ドクターもおすすめ」といったものはむしろ逆に狙われる傾向にある。
「謝罪広告」は早めが良い
仮に行政から指導が入った場合、いつ「謝罪広告」を出すかについての相談も増えている。
謝罪広告を出したからといって課徴金が免れられることはないと思った方が良いが、課徴金の対象期間を短くし、金銭的なダメージを減らす効果はある。そのため、やはり「早め」が良いことが考えられる。
広告のルールは年々厳しさを増しているが、合理的な根拠や正しい言葉使いであれば認められるケースも増えている。
今までNGであった「ビフォー・アフター」も「認められる効果の範囲を超えないこと」「効能発言までの時間を強調しないこと」「効果持続時間を強調しないこと」を条件に認められている。
例えば、「汚れや老廃物による」という言葉がきちんと入れば「くすみ」が解消したというクレンジングのビフォー・アフターは現在可能となっている。
ルールを知り、強いエビデンスを作ることを遵守すれば、薬機法の課徴金制度スタートにも問題なく対応できる、とまとめた。