特定非営利活動法人

HOME > 「食」のトピックス > コロナ禍、「食に楽しみや快適さ」求める傾向

2021.3.17コロナ禍、「食に楽しみや快適さ」求める傾向~ウェルネスフード推進協会セミナー

2021年3月17日(水)、web配信にてウェルネスフード推進協会セミナー「睡眠の質とメンタルパフォーマンスの関係性、対応する食品開発のトレンド」が開催された。この中から武田猛氏(株式会社グローバルニュートリショングループ)の講演「睡眠の質向上に寄与するムードフードのトレンド」を取り上げる。

食品・栄養・健康における10のキートレンド


イギリスの「New Nutrition Business(ニューニュートリションビジネス)誌」は、1995年の創刊以来、年間11回発行されている業界誌で、世界の栄養ビジネスを分析・洞察し、実用的な情報を世界に発信している。現在世界42カ国で1000社以上の食品栄養健康産業のエグゼクティブに愛読されている。

この専門誌(NNB)で2005年以降毎年特集が組まれている「食品・栄養・健康における10のキートレンド」は人気の高いコンテンツで、毎年「将来的に成長が見込めるトレンド」が分析されているという。

「食品・栄養・健康における10のキートレンド2021」も先日発表され、株式会社グローバルニュートリショングループではこの日本語訳とその要約をすでに自社サイトで販売しているが、今回の講演では10トレンドの中から睡眠に関するものを紹介した。

コロナ自粛から、「食に楽しみや快適さを」求める傾向

まず「メガトレンド」として「天然の機能性」「細分化」「ウエイトウエルネス」「スナック化は戦略の基軸」「サステナビリティ」がある。

これを細分化した2021年の10キートレンドが「1、より少ない、より良い、楽しみのための炭水化物」「2、スイッチが入った動物性プロテイン」「3、代替プロテインーエンドウ豆を超えた成長」「4、多様化する腸のウエルネス」「5、植物を便利に」「6、追い風を受ける免疫力」「7、燃料としての脂肪の発展」「8、多様化する甘味」「9、新たなムード&マインドフード」「10、来歴の持つパワー」である、と武田氏。

この「9、新たなムード&マインドフード」とは「幸せな気分に良い食品」とも言い換えられ、これまでも成長していたカテゴリーだが、COVID-19のパンデミックによりさらに成長が加速しているという。

具体的には、COVID-19によるうつ病が米国では感染前より3倍以上増え、どの国でも似たような状況だ。

多くの人が「外出自粛」や「ソーシャルデイスタンス」で「せめて食には楽しみや快適さを」求めるようになっているという背景がある。

こうした食の具体例では、チョコレート、コーヒー、紅茶、バナナブレッド、チキン、ワイン、牡蠣などがある。

実際、ロックダウン中に「焼き菓子」は多くの人の心の癒しとなり、甘く炭水化物を含んだ食品が再注目され、家庭でパンを焼く人々が急増、特にバナナブレッドはインスタグラムで130万件を超えるトレンドになり、「ムードフード」というキーワードもGoogleでメガキーワードになった。

ヌートロピック、認知機能や精神的パフォーマンスでトレンドに


また、健康な人の認知機能や精神的パフォーマンスを改善するために摂取される物質を「ヌートロピック」というようになり、このワードもここ数年でトレンドになりつつある。

カフェインやテアニンもヌートロピックに含まれ、精神力の向上、疲労感の軽減、集中力や記憶力の向上、不安やストレスの軽減に役立つことが知られている。最近ではCBDオイルやイチョウ葉もヌートロピックとして人気だ。

また、「アダプトゲン」という分野にも注目が集まっている。

アダプトゲンは「ストレスに適応するサポートに役立つ成分」で、具体的にはアシュワガンダ、バコパモニエラ、冬虫夏草、霊芝、きのこなど中医学やアーユルヴェーダ医学で伝統的に用いられてきたものが多い。

現時点でアダプトゲンを試している消費者は少数だが、これは製品そのものがプレミアム価格であるためと武田氏。

新たなムード&マインドフード

消費者は食品をどのように利用し、気分や健康をよくしたいと考えているのか。

砂糖はうつ病や不安症などの引き金になることやタンパク質を減少させるため、低糖・高タンパクの製品を求めている。オメガ3やナッツ、アボカドなど体に良い脂質は積極的に摂取したいと考えるようになっている。

また腸の健康がストレスや免疫、精神面にどのような影響を与えるかを十分理解しているため発酵食品への意識も高い。

酸化から細胞や免疫を守るため、野菜や果物を摂取する意識も高まっている。良い睡眠を促進させる機能性成分やハーブティーなども人気があり、これらはすべて「新たなムード&マインドフード」と考えて良い、と武田氏。

コロナ禍で、特に米国ではサプリメントの市場がまだまだ成長しているが、実際にヒットしている健康食品とは、消費者が求めているベネフィットを体感できるように商品設計されているものである。

この「ベネフィットを届ける」という視点を持ち商品開発・商品設計を行うことが最も重要だとまとめた。

最近の投稿

「食」のトピックス 2024.11.18

栄養・機能性飲料のグローバルトレンド

「食」のトピックス 2024.11.11

食による免疫調節と腸内細菌

「食」のトピックス 2024.11.5

地域住民におけるDHA・EPA、アラキドン酸摂取量と認知機能の関連

「食」のトピックス 2024.10.21

大豆のはたらき〜人と地球を健康に〜

「食」のトピックス 2024.10.15

ゲノム編集食品最前線

カテゴリー

ページトップへ