特定非営利活動法人

HOME > 「食」のトピックス > 機能性表示食品の現状と課題解決に向けた当協会の取り組み

2022.10.3機能性表示食品の現状と課題解決に向けた当協会の取り組み食品開発展2022

2022年10月12日〜14日、東京ビッグサイトにて「食品開発展2022」が開催された。食品の主要テーマである健康・おいしさ・安全などを追求するための専門展示会として今年で33回目を迎えた。ここでは出展社セミナーの一つを紹介。

(公財)日本健康・栄養食品協会

2015年4月にスタートした機能性表示食品制度は早くも8年目を迎え、すでに5800商品が受理されまもなく6000件突破が見えている。機能性表示食品制度が登場する前は、国民の健康増進のために食品からアプローチするには、特定保健用商品制度(トクホ)か、栄養機能食品制度(2001年)を利用する以外選択肢がなかった。特にトクホへの申請チャレンジには莫大な時間的・金銭的コストがかかり、実質的には大手企業にしか使えない制度であるなど不満が多く、また、栄養機能食品制度は届出は簡単だが表示範囲が極めて限定的であり、食品のさまざまな機能を訴求するには不十分だった。それぞれの制度の問題点を解決すべく、米国のダイエタリーサプリメント制度をベースにし、日本独自の機能性表示食品制度が考案され規制緩和の名の下にスタート。本制度は、消費者庁などによる国の審査があるわけではなく、企業の責任において研究レビューによるエビデンスの証明が可能であることから、スピード感を持って制度は普及してきた。ただし、本制度は「進化する制度」という側面があり、すでにこの8年で9回の制度改正がなされ、この冬にも10回目の制度改正が行われる予定だ。しかし制度の改正は必ずしも制度を厳格化するものではなく、消費者団体や業界団体からの意見も掬い上げられるかたちで、より透明性の高い制度とへと進化するための改正が多い。他にも今年の4月から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、エビデンス対象となる成人とは20歳以上のデータであったが、法律の改定に合わせて、機能性表示食品の「成人」も18歳以上のデータを認めるなどの変更がなされている。また制度改定が重ねられる中で、制度の透明性や正確性に大きく役立っているのが「事後チェック制度」だ。事後チェック制度については、事業者側からは「よくわからない」「混乱する」「大変だ」というネガティブな声も聞こえてくるが、何のために事後チェック制度があるかを理解することで、恐れる必要はない制度であることが理解できるのではないかと話す。

事後チェック制度の正式名称は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、最新の改定案についてはこの9月までパブリックコメントも求められ、今年12月に最新版が公開される見込みだ。主な変更点としては、これまでに錠剤・カプセルなどの健康食品だけでなく、明らかに一般の食品と認識されるものまで範囲が広げられることや、コロナウイルス、認知症予防など疾病の予防を目的とした効果を表記することなどに関する盛り込まれた点であろう。他にも新陳代謝を盛んにする、自然免疫力を高める、若返り、アンチエイジング、活性酸素除去酵素の増加、歩行能力の改善、などは「身体の一般的増強増進を目的とする効果」で明確に禁ずることが盛り込まれるという。他にも「妊活」や「腸活」「デトックス」など、標榜に注意が必要な文言がより詳しく具体的に書かれているので、事業者はこの改訂版を必ずチェックして、事後チェックや景表法などに引っかからないように今一度注意する必要があると説明。

とはいえ、科学的根拠に基づいた合理的な説明ができるものについては、恐れる必要はない。2年前に免疫に関する機能性表示製品が受理されているが、その後に続くものがないのは、やはり免疫の評価が非常に難しいからで、活性酸素や自然治癒力などもそうだが、合理的かつ科学的に数字で評価が判断できないものに関してはやはり難しいものがあると話す。また、今回の改定では「こんなお悩みありませんか?」の表示についても明記してあり、「健康診断で〇〇の診断を受けた」「運動や食事制限が苦手」「いつもリバウンドしてしまう」なども追加され、これらの表現は特にインターネット上のランディングページで多く見られるが、取り締まりは厳しくなる一方なので注意が必要だと促した。「こんなお悩みありませんか?」を使ってはいけない、ということではなく、その後に続く効果が「解消に至らない身体の組織維持等に関わる」場合、景表法違反になる可能性があるということだ。これは、機能性表示食品だけでなく、特保食品でも同じで、機能性表示については、このことが事後チェック指針に明記されている。また、今回の改定ではアフェリエイトの広告主の責任も明示されている。これについては、以前から指摘されているが「インターネットだから」という油断することはますます危険になるということだ。

いずれにせよ今回の改正で機能性表示食品だけでなく、健康食品の特に広告全体が健全化することが期待されている。企業としてわからないことがあれば、(公財)日本健康・栄養食品協会などでも行っている「事前点検」の制度を利用すれば的確なアドバイスができるのではないかと話す。2022年は現時点で、機能性表示食品の新規機能の届出は0件、しかし新規成分の届出は6件あり、まだまだアイディア次第で国民の健康増進に役立つ商品を届けられる優れた製品を世に出すことは可能で、制度も盛り上がるだろうと話した。

最近の投稿

「食」のトピックス 2024.12.20

腸内フローラ・多様性とエコシステム

「食」のトピックス 2024.12.11

機能性表示食品における国の規制強化と検査機関としての取り組み

「食」のトピックス 2024.12.2

遺伝子発現解析技術を利用した食品成分の安全性評価

「食」のトピックス 2024.11.18

栄養・機能性飲料のグローバルトレンド

「食」のトピックス 2024.11.11

食による免疫調節と腸内細菌

カテゴリー

ページトップへ