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2022.10.17機能性表示食品制度と事後チェック指針〜企業としての務め〜食品開発展2022

2022年10月12日〜14日、東京ビッグサイトにて「食品開発展2022」が開催された。食品の主要テーマである健康・おいしさ・安全などを追求するための専門展示会として今年で33回目を迎えた。ここでは出展社セミナーの一つを紹介。

株式会社オルトメディコ 早稲田大学部門長 矢澤一

2020年4月から運用が開始された「事後チェック指針」。機能性表示食品に対する透明性を確保するために実施されているもので、それによって企業が機能性表示届出を断念したり怯んだりする必要はない、と矢澤氏。機能性表示食品は国のお墨付きではなく、あくまで企業の責任によって届出ているものであるため、受理後も買い上げ調査などで正当性を確認するシステムは不可欠だ。

気をつけるべきポイントは大きく2つで「科学的根拠に関する事項」と「広告に対する考え方」だという。この2点は事後チェック指針運用の前から指摘されていることであるが、やはりこの2点で問題を指摘されるケースが圧倒的に多く、今年の3月にも認知機能に関する機能性表示食品の112事業者128製品に対し改善指導が行われた。これは広告の表示内容が、届出された機能性の範囲を逸脱していたからで、食品表示法、景品表示法、健康増進法などの各種法令上問題となる恐れがあるからだ。他にも、「内臓脂肪を減らすのを助ける機能がある」で届出表示しているのに、「メタボ改善に」「肥満解消」「リバンドしない体質に」など、届出された機能性では解消にいたらない疾病症状に該当する身体の組織機能に関わる不安や悩みなどを示す表示なども明確にNGとガイドラインに盛り込まれている。「お腹の調子を整える機能」の届出で「便秘症の解消」や「下痢止め」もNGだし、「膝関節の柔軟性可動性をサポートする機能がある」の届出で「変形膝関節症の緩和に」「膝の痛みの軽減に」もNGで、またそれらを表現したイラストや写真を使用することも誤認に導く可能性があるからNGだと改めて解説。つまり届け出た機能性の範囲を逸脱した説明は不可能だし、機能性関与成分でない成分を強調することはできないということだ。

他にも届出書類内では対象者が限定された試験結果が掲載されているのに、誰にでも効果が得られるように表示するのも認められない。広告表現が「事実である」と証明するためには「提出資料が科学的に実証された適切なものであり」「表示された資料と表示された効果や内容が適切に一致している」必要がある。他にも「条件を限定しない場合には作用が得られにくい場合」「根拠論文が撤去され査読付き論文が存在しなくなった場合」「根拠論文の対象者に疾病に罹患しているものが含まれ、適切な層別解析がなされず、疾病罹患者を除外できない場合」「研究レビューで有効性が確認された量よりも届出食品中の機能性関与成分の含有量が少ない場合」など、も適切な商品とはいえず指導や注意の対象となる。

事後チェックはこれからも内容をブラッシュアップさせながら継続していくものだと考えられる。そのため、事業者側は事後チェック指針に基づいて商品設計を行う必要が当然あるだろう。最終製品試験についても事後チェックを意識して行わなければならない。しかし、企業側がもしそれでも誇大広告や誇大表現、拡大解釈をしたいのであれば、その理由はなんであるのか。おそらく他者との差別化や売り上げ拡大の理由があるのだろうが、商品は人々の健康増進やヘルスメディケーションのためにあるのであって、企業の売り上げのためだけにあるわけではない。商品だけでなく制度そのものが育ち、制度が普及することで、健康食品全体がさらに発展し市場を拡大していく。事業者は自分たちの首を絞めることがないよう、ルールを守りせっかくできた制度を共に成長させていく一員として展開してほしいと話した。

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