2022年10月12日〜14日、東京ビッグサイトにて「食品開発展2022」が開催された。食品の主要テーマである健康・おいしさ・安全などを追求するための専門展示会として今年で33回目を迎えた。ここでは出展社セミナーの一つを紹介。
アリメント工業株式会社
2050年、日本人の人口はついに1億人を割り込み、100歳以上の高齢者は50万人を超えることが予測されている。そのような中でどのような健康食品や機能性表示食品にニーズが集まり生き残っていくのか、最新のマーケティングデータをレポートした。
まず、新たな国民病として早期発見早期治療の重要性が訴えられているのが歯周病である。実に国民の8割がすでに歯周病を持っているとされており、令和7年からは歯周病に対するみなし検診が実施される予定だ。オーラルケアの市場は日本でも年々伸びているが、とくに口腔衛生への意識が高い欧米でも市場は堅調に伸びていて、日本でも一時のブームではなく安定した市場として確率されることが予測されている。オーラルフレイルに対応する機能性表示食品はまだほとんどなくブルーオーシャンだ。口腔内環境を整えることが、腸内環境や免疫系を整えることも解明されつつある。まさにオーラルフレイルに対するエビデンスのある製品開発に期待が寄せられている。
そして次に睡眠問題だ。働く世代のほとんど(約75%)が睡眠に関する問題を抱えているとされる。具体的な悩みの内容は中途覚醒・入眠障害・早朝覚醒・熟睡障害などで、睡眠不足による経済的損失は15兆円規模だと試算されている。睡眠とストレスも密接に関係しているため、その両方をサポートする商品が既に人気で2021年は「睡眠サポート・ストレス緩和」に関係する商品の売り上げが前年度47%増だったというデータもある。
そして疾病や健康の悩みではないが、Eスポーツのマーケット拡大も健康問題に深く関係していくことが予測されている。Eスポーツが普及すると、ますますアイケア、集中力、リラックスの必要性が高まる。Eスポーツ人口は世界で1億人を超えていて、アイケア、集中力、リラックスをカバーした製品が登場すれば、特にZ世代に受け入れられるだろう。もちろん、あらゆる世代で今後も「目の悩み」は深刻化していくはずだ。すでに、若い人のスマホ老眼、子どもの近視のパンデミック、ブルーライト問題など未解決な健康課題は多い。
これらの背景を踏まえ、将来的に健康食品業界が目指すべきコンセプトは「ライフスタイルの変化へのサポート」であると話す。具体的には全世代において「睡眠」と「アイケアサポート」「脳機能サポート」が必要になってくるだろう。何よりこれまでは「体が健康であること」や「特定の部位が良好になること」をゴールとしていたが、これからは「健康的な生き方をし続けること」がゴールに変わっていくのではないか。心身が健康と不健康の間を行ったり来たりするのではなく、生き方そのものが健康で健やかで、その中で体調が揺れたり変化したりすることに対応していく商品が必要になる、と説明した。
機能性表示食品も今は個別の悩みをサポートするものが人気であるが、今後は健康な生き方をサポートするものに人気が移行する可能性がある。例えばスポーツニュートリション、運動後のケアに役立つ商品などはそれに該当する。例えばサプリメントでもより摂取しやすいもの、ドリンクタイプやスナックタイプなどより食品に近く、美味しさや手軽さなどでより工夫を重ねることでライフスタイルやシーンの中に溶け込みやすくなるのではないか。アリメント工業株式会社ではそういった商品開発のサポート支援もしているので、ぜひ良い商品づくりを一緒に行っていければ、とまとめた。