2024年10月23日(水)〜25日(金)、東京ビッグサイトにて「食品開発展2024」が開催された。食品分野の研究・開発、品質保証、製造技術者向けの専門展示会である食品開発展。今年度で35回目を迎え、約4万人の来場者で賑わった。ここでは出展社プレゼンテーションから長瀬産業株式会社による「栄養・機能性飲料のグローバルトレンド」を取り上げる。
長瀬産業株式会社
世界の飲料業界は、特に「エネルギー飲料」のジャンルで成長を続けており、背景には消費者が飲料においても「体にやさしく、糖分を控えた、満足度の高い飲料」を求めているからだ、と解説。エネルギー飲料とはイコール「機能性飲料」とも言い換えられるが、ストレスフルなライフスタイルを強いられる現代人にとって、栄養補助だけでなくメンタルサポートも叶うような、あるいは食事の代用になるような体と心が満足できる機能性飲料に注目が集まっているという。
人々のさまざまな積極的な活動及び目的達成をサポートするための製品を「パフォーマンスプラス」と位置付けているが、この「パフォーマンスプラス」というトレンドには4つのサブトレンド「スポーツ燃料」「ウォータープラス」「リカバリー」「ゲーミング」があるという。
「スポーツ燃料」とは、文字通りスポーツをする人をサポートする目的として作られた、トレーニングの効果を最大化するための製品で、即効性のあるエネルギーや十分なタンパク質の含有量が維持されているだけでなく、集中力の向上や精神的なサポートの機能性が求められる。当然、これらの機能性について臨床によるエビデンスも必須だ。実際この分野で人気のある成分としてカフェイン・プロテインパウダー・アシュワガンダ・ビタミンB群・GABAなどがあると解説。形状も必ずしもドリンクタイプではなく、小分けのパウダー(水に溶かす)も人気だとした。
「ウォータープラス」とはナトリウムなどの主要なミネラルの補給を手助けしてくれる水分補給製品で、汗などで失われる水分やナトリウムなどのイオン(電解質)をスムーズに補う電解質飲料に加え、プロテインや食物繊維、コラーゲンがプラスされた飲料、さらに特定の源泉や特別な濾過方法を示すフィルターシステムを強調する製品も注目されているという。特に特定の源泉の中でも長寿者が多い地域として知られる「ブルーゾーン」で湧き出る天然水なども人気だ。添加物が少なく原材料がシンプルな製品は当然人気が高いが、ココナッツウォーターやスイカジュースなどの自然成分のウォーターも注目されていると説明。
「リカバリー」は、スポーツの後に失ったミネラルを補給する飲料、筋肉の修復、精神的なストレスの軽減に役立つ、あるいは体調不良後の回復、免疫アップを目的とした飲料製品が従来通りの「リカバリー飲料」として人気が高いが、今、特に注目されていて成長著しい飲料が「過度の飲酒」や「夜更かし」のネガティブな影響を打ち消す製品だ。スポーツ後のリカバリー目的にはタンパク源としてピーナッツバター、オーツムギなどの自然素材を含んだものや、自然甘味を含んだ製品が多く、「飲酒」や「寝不足」へのリカバリー飲料としては抗酸化物質やビタミンD、アミノ酸、アシュワガンダ、マッシュルーム抽出成分などが含まれた製品が注目されているという。あるいは、以前からあるスムージーもここに含まれる。
「ゲーミング」は、まだ認知度が高くないテーマではあるが、ゲーマーの人たちがパフォーマンスの最大化・認知能力の向上・集中力の向上・反応速度の向上・記憶力の向上のために求めている飲料で、プレイ中に消費できるような簡単な製品設計が求められているという。カフェインやプロテインが入っているだけでなく、飲むだけでエネルギーがすぐに補給でき、満足感(腹持ちのよさ)も与えられるものが人気で、添加される機能性成分としてはオメガ脂肪酸・ビタミンB群・テアニン・高麗人参などがあり、フレーバーにもさまざまな工夫がされている。商品は人気ゲームとのコラボレーションなどで注目されていて、主にZ世代から支持を得ているという。
この4つのサブトレンドに加え「食事代替飲料」のニーズもあると話す。「食事代替飲料」とは文字通り、食事の代わりになるように設計された飲料で、食事をできるだけ簡単に済ませたいという消費者ニーズに応えるものだ。時間をかけた食事やバランスを考慮した食事を用意しなくても、飲料だけで必要な栄養素が完全に補えるものが理想とされ、多くの食事代替飲料は「朝食の代わり、あるいは昼食の代わりになる」ことを目指して作られているものが多いという。オメガ3系やプレバイオティクス・プロバイオティクスが配合されたものが人気だと説明。 栄養・機能性飲料は国内外で市場ニーズが高まっている分野であり、まだまだ商品バリエーションが広がる分野なので今後の展開にも注目していきたいとまとめた。