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2025.3.28機能性表示食品の新ガイドライン、健康食品、化粧品の違反事例健康博覧会2025

2025年2月26日(水)〜28日(金)、東京ビッグサイトにて「健康博覧会2025」が開催された。今年で43年目を迎える国内のヘルスケア展示会で最長の歴史を誇る「健康博覧会」。今年も健康食品やサプリメントに加え、ウェルネス、リカバリー、フェムテックだけでなくメンテックといった新たなカテゴリーも登場し、約500社の出展と約4万人の来場者で賑わいを見せた。ここでは出展社プレゼンテーションから「機能性表示食品の新ガイドライン、健康食品、化粧品の違反事例」を取り上げる。

株式会社RCTジャパン代表 持田 騎一郎

2025年4月1日から、機能性表示食品の制度が大幅に改正される。これまで幾度となく改定されてきた制度であり、持田氏自身もさまざまなトライアンドエラーを繰り返し、複数の機能性表示食品を受理させてきたが、今回の改定はかなり事業者側にとってハードルが高くなっている、と説明。

最も大きな変更箇所となるのは、今回の改正によりシステマティックレビュー(SR)の作成は、PRISMA声明2020(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)に準拠することが必須となる点だ。PRISMA声明2020とは、システマティックレビューおよびメタアナリシスの国際指針とされており、これまでは機能性表示食品の科学的根拠としてSRを用いる場合は初版であったPRISMA 2009に準拠することが求められていたが、2023年の機能性表示食品ガイドライン改訂において、2025年4月以降に新規の届出を行う場合は、PRISMA声明2020の最新版に準拠することが求められている。2025年3月までは経過措置期間が取られていたが、こちらがまもなく終了するため、PRISMA 2020への完全対応が求められる。この改訂に伴い新しい表示見本も消費者庁の公式サイト等に公表されており、事業者はこれに基づいた表示(パッケージ)の変更を行う必要もある、と持田氏。

2025年4月以降にSRによって届出を行う場合の具体的な改正点は以下となる。

  • PRISMA 2020への対応が必須
  • 2025年3月までに作成されたSRはPRISMA2009で受け付けられるが変更届出を提出する場合は別紙の様式を順守して提出しなければならない
  • SRの作成において、メタアナリシスを前提とすることが求められている
  • PRISMA 2020のガイドラインに基づく「報告バイアス評価方法」の明確化
  • SRの作成に使用した「バイアスリスク評価ツール」とその詳細を明記

この新基準を満たさない場合、新規の届出が受理されない可能性があるため、事業者は適切な対応を行うことが求められる。実際に不備指摘のパターンとしては、タイトルとハッシュタグ(#)の使い方が適切でないというケースが多いという。以前は曖昧なタイトルでも届出が受理されていたが、今後はPRISMA 2020に準拠した明確な表現が求められ、事業者は、自社商品の表示を見直し、誤解を生まないタイトルを設定する必要がある。また報告バイアスの評価方法に関して、方法と結果を厳格に分けて記載することが求められる。

また、2025年4月以降の表示に関する主な変更点は以下となる。

  • 「機能性表示食品」の7文字を四角枠で囲む(背景色の使用は不可)
  • 届出番号は四角枠の外で、なるべく近くに記載
  • 抜粋した文言は届出表示に厳密に従う
  • フォントの差異を過度に付けない
  • 切り取り線で表示内容が途切れないように配慮する

これまではパッケージに、例えば「ルテインには〜の機能があります」と表示されてきたが、これは不可となり、4月以降は「ルテインの研究報告による〜で、〜する」「ルテインには〜し、〜する機能があることが報告されています」といった形での表現に変更する必要がある。また「◯◯に適した食品です」という表現も、食品そのものに機能性があると誤解を与えるため使用できない。語尾の言い換えは可能であるものの、届出表示に準拠した内容とすることが重要である。 この改正により、機能性表示食品の届出・表示に関する基準がこれまで以上に厳格化されるため、事業者の負担は確実に増えることが予測される。現在、届出は鈍化傾向にある。こうした状況の中で、他社と差別化を図るためにも、機能性表示食品の新規開発を考えている事業者は早急に準備を進める必要がある、と持田氏はまとめた。

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