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2012.12.20自然治癒力を高める生き方、食のあり方

帯津三敬病院 院長 帯津 良一 氏

ここ数年、“癒し”ということばがよく聞かれるようになった。食べ物や薬だけでなく、心の持ち方で人間が本来持っている自然治癒力を引き出し、健康管理を行うというホリスティック(全体)療法が注目されている。こうした自然や宇宙との調和の中で、病気を予防するというホリスティク医学は医学界でも次第に広がりをみせている。自然治癒力を高める生き方、食のあり方を帯津三敬病院の帯津良一院長にうかがった。

帯津 良一(おびつ りょういち)

帯津三敬病院理事長 名誉院長

<略歴>
東京大学医学部卒
同付属病院第三外科
都立駒込病院外科医長

自然治癒力を高める生き方、食のあり方

帯津三敬病院
理事長 名誉院長 帯津 良一 氏

— 病気を克服するためには自然治癒力を発現させることが大切であるとよくいわれますが、自然治癒力とは一体どのようなものですか

帯津:自然治癒力というのはまだ科学的に解明されていませんが、ある空間が持っているポテンシャルというふうに私は理解しています。例えばここに私という一つの容積を持った空間があります。こうした空間の持つエネルギーを自然治癒力といいます。このエネルギーが高い人は自然治癒力が高いといえます。逆にエネルギーが低い人は自然治癒力も低いといえます。空間ですから、この部屋にも自然治癒力があります。地球にも宇宙にも自然治癒力があります。要するに空間があればそこにエネルギーがあり、それが自然治癒力といえます。

— 自然治癒力を高めるのにベストな食物は

帯津:食物は、私たちの自然治癒力を高めてくれますが、特に身体の空間と共鳴状態、共振状態にあるものがいいです。ということは、その季節にその土地でとれた食物が一番いいのです。大地の場と私たちの身体の場はつながっています。空間というのは皮膚で境されて閉鎖されているのでなくて、共有しています。ですから、自然治癒力を高めるには旬のもので、植物性のものが最適といえます。

動物性のものはというと、そこにいる動物が大地のエネルギーを取り込み、それを私たちが間接的にもらう形になりますから、純粋さが失われます。また、動物の場合、オーストラリアとかだいぶ離れたところのものになります。そうしたこともあり、順位を付けるとすれば動物性のものより植物性のものの方がいいといえます。

後は添加物とか、食品を精製しすぎるというのは大地のエネルギーを削ぐことになりよくないです。これも絶対というわけではなく、比較の問題で、順位でいえば、なるべく自然なもので旬のもの、そして地場でとれたものが最上位にきます。初夏の頃、そら豆にビールというと嬉しくなりますが、その嬉しくなるのがいい。季節感を感じてハッとする嬉しさ、これが身体の中の空間のエネルギーを高めます。おいしいとか、感謝の気持ちが湧いてくるもの、こうしたものが自然治癒力を湧きたたせるのにいいわけです。

— 自然治癒力の補助としての健康食品の役割は

帯津:喜びを持って食べるということが自然治癒力を高めるための大原則です。それを守りながら健康補助食品を用いるといいかと思います。いい食生活をし、その上でさらに自然治癒力を高める手助けを行うというのが健康食品の役割だと思います。また健康食品の用い方については、いろいろと手を広げるのではなく、2種類くらいに絞り込んできちんと使うのがいいと思います。私共の患者さんの間ではアラビノキシランが一番人気ですが、乳酸菌生産物質やSOD様食品なども多く用いられています。

— 自然治癒力を旺盛にするために食物以外に気をつけることは

帯津:心の持ち方が大切です。がんの予防というのは心が70%で、食物が30%です。大きな生きがいを持つ、死の直前で終わるのではなく、死をも貫いていくようなしっかりした生きがいを持つことが大切です。そうしたことをサポートするために私は患者さんたちに気功を薦めています。気功的人間になれといっています。空間のエネルギーの中で自分も人も、宇宙全体もつながっているのですから、自分のことだけを考えるのではなく、自分を大きな場の中の存在と考えることが大切であるといっています。

健康補助食品を用いるにしても、心がきちんとしていればその効果が引き出され、生きてきます。病気を克服する際、一番の秘訣は「必ず生き抜くんだ」という気持ちを持つことです。ただ、これが執着になるとだめです。生き抜くという気持ちと、一方で死の準備をも心の中ですること、そうした死生感を持つことが大切です。このバランスがとれた時に病気を克服することができます。そういう状態の時に自然治癒力が湧いてきます。

ですから、良い死生観を持つことが大切です。死生感を縦糸とすると、良い食生活、良い健康補助食品は横糸で、両方が必要です。

— 医薬品と食品との役割分担について

帯津:「治す」ことと「癒す」ことの違いだと思います。「治す」というのは修理、「癒す」というのは空間のエネルギーを高めることです。食事も気功も「癒し」の技術です。強力な西洋医学の薬は「治し」の技術です。これは緊急避難的に使えばいいと思います。しかし、場のエネルギーが落ちて、自然治癒力が落ちている人をまず引き上げるのは「癒し」の技術です。食事に注意しなさい、気功をしなさい、心をのびのびさせなさい、健康補助食品を摂りなさい、これらはすべて「癒し」の技術です。

これからの医療というのは、「癒し」の技術を行うことが前提になると思います。どちらが主役かといいますと、「癒し」のほうが主役といえます。健康補助食品のようなもので「癒し」をやっておいて、やむをえないという時に近代西洋医学を利用するというのが順序だと思います。西洋医学陣営では科学的に検証されていないものは否定しがちですが、これはおかしいと思います。科学的に検証されているものだけで我々は生きているわけではありません。我々が病気になったとき、科学的なことだけでは解決できないことがたくさんあります。

気のエネルギーについても奥行きが深くてまだわからない部分が多くあります。しかし、わからなくても体験的に良ければそれでいいと思います。アロマテラピーにしてもそうです。やってもらうと気持ちがいい。ですが、これにしても科学的に証明されているのかというと完全に証明されているわけではありません。

私たちが普段食べているものは添加物や農薬で気のエネルギーが削がれています。本来今取れて、置いておくとすぐに腐ってしまうようなものが私たちの自然治癒力を高めるのに一番いいのです。その季節にその土地になったものを食べるという食生活、そうした食習慣の中で自然治癒力は高められます。ですから、まず普段の食物や健康補助食品で自然治癒力を高め、「癒し」を行い、どうしようもない緊急の場合に薬で「治す」という考え方がよろしいかと思います。

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