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2014.10.30健康の基本、自分の住んでいる土地の物を食べる

真弓小児科医院 院長 真弓 定夫 氏

近年、健康志向が高まり、TVやネットで健康情報が盛んに流れているが、本来、健康とはいかにしてもたらされるものなのか、という本質の部分が逆に見えにくくなっている。自然流育児で知られる小児科医、真弓小児科医院の真弓定夫院長に健康のための基本原則をうかがった。

真弓 定夫(まゆみ さだお)

真弓小児科医院 院長

(略 歴)
1931年東京生まれ。東京医科歯科大学卒業後、佐々木小児科で医長を務めた後、1974年武蔵野市吉祥寺に真弓小児科院を開業。薬を出さない・注射をしない小児科として知られる。全国各地で年間約120回以上の講演を行う。「自然流食育のすすめ-小児科医からのアドバイス」「病気知らずの自然流育児-薬に頼らない子育てをはじめませんか」など著書多数。

健康の基本、自分の住んでいる土地の物を食べる

真弓小児科医院 院長 真弓 定夫 氏

— 健康のために「必要な食べ物」とはどのようなものですか

真弓:人間が健康になるための食べ物というのはスーパーでは売っていません。売っているのは食品であって、食品ではダメです。病院も食品しか出しません。そうした物では病気はどんどん悪くなっていきます。

食べ物というのは、例えば、ホウレン草にしろコンニャクにしろ目で見てすぐに分かる物のことです。自分の住んでいる土地の周辺でとれる物、木から採れる物、そういう物を食べることが大切です。

さらにいえば、健康は食事だけでダメで、食事より水、水より空気が大事。そして、生活全般を正すことが大事です。私はこのことを60年間言い続けてきました。私の所はもちろん薬も使いません。

— 「一物全体」食を摂ることが良い、といわれますが

真弓:そんなことは当たり前のことです。健康になるには、3つのことだけ知っていればいいです。まず、地場で採れた物を食べる。全体を食べる。生きた物を食べる。これだけでいいです。

ただ、今は自給率が落ちていますから、その点は考えなければいけませんが、自給率が足りていれば栄養学も必要ありません。

例えば、サルのような野生の動物が何を食べているか、ということです。人間は哺乳動物ですから、野生の動物がどういうものを食べているのか、をよく観察することが大切です。

第一に言えることは、自分の住んでいる土地の食べ物しか食べていないということです。それから、春夏秋冬、季節の食べ物しか食べていません。

そして、生きた物しか食べていないということです。生きた物というのは植物でいえば芽の出る物です。動物であれば子供が生める物のことです。私は、そのことをずっと言い続けています。患者さんもこのことを守ってくれていますから病気になりません。

— 地場の物を食べることがその人の健康管理に最も適しているということですね

真弓:その人にとっては、自分の住んでいる所が一番良い土地です。秋田に住んでいる人は秋田が、広島に住んでいる人は広島が一番良いということです。

まず、その地場の物を摂るということが大切です。農薬とか輸入食品とかはその後の問題です。加工食品も食べ物とはいえません。食べ物を家に持って帰って自分でそれを加工するのはいいですよ、煮たり焼いたりして。しかし加工食品として出来上がっているものは、もはや食べ物とはいえません。

自分の住んでいる土地で出来る物、季節の物で、芽が出てくる物、動物なら子供が生める物、それだけを食べていればいいのです。

— 戦後の食品行政で日本人の優秀性が削がれたのではないかといわれていますが

真弓:戦前の日本人は優秀で、その日本人がアメリカに占領される前にどんな物を食べていたかという資料はたくさんあります。アメリカは日本に戦争で勝ちましたが、日本を非常に恐れていました。マッカーサーは日本に来て、日本がいかに優れた国か、日本人がいかに優秀か、思い知らされました。それで、これを変えなければいけないということで保健所や教育委員会に働きかけました。

そこからずっと日本人に合わない、間違ったことが行われてきました。ただ、占領されている間は仕方がないとしても、問題は日本が独立国になっても、ずっとアメリカの影響下にあったということです。昭和27年から日本は独立しているのですから、もうそんな必要はないわけで、そこから後のことは日本の責任です。70年前の食事に戻せばいいだけの話です。

食事というのは一番下で、それよりも水、それよりも空気、さらにいえば、それよりも教育が大切です。これまで、みんな日本人に合わないものをやってきたということです。

私が大学に務めていた時は、そうしたことは言えませんでしたが、開業して40年間、私はそのことを言い続けています。そうしたら子供達はどんどんよくなっていっています。

— 先生は母子手帳のことも指摘されていますね

真弓:アメリカではとっくに廃棄しているアメリカの乳業会社が作った母子手帳をそのまま日本語に訳して昭和23年から日本で使っています。ですからどんどん病気が増えていきました。

とくに問題なのは、体より心の病気です。70年前と今とでは心の部分がガタガタになって、犯罪とか異常行動がどんどん増え、しかもそれが低年齢化しています。

心は食べ物に影響されます。間違った食べ物を摂っていると、その動物が一番使っている部分がおかしくなるといわれます。

例えば、養殖魚は海の魚とは食べる物が違います。養殖魚は泳ぐ動物ですから、一番使うヒレとかに異常が出てきます。サルにしても合わない食べ物を摂ると四肢に奇形が出てきます。

唯一哺乳動物の中で人間は心を使っています。昭和20年以降日本人は合わない食べ物をとってきたため心がおかしくなったのです。食べ物で一番影響を受けるのは心の部分です。食品添加物とか農薬以前に根本的なところで間違った物を食べ続けてきたのです。

— そうなると子供達の健康や心のことが一番問題になりますね

真弓:子供達のことでいえば、一番大事なのは胎児ですが、問題なのは妊婦さんの食事です。牛乳を飲んだり、パンを食べたりしていてはダメです。

牛乳にしても、例えば、哺乳動物は4000種類以上いますが、それぞれおっぱいが全部違います。ライオンのおっぱいとトラのおっぱいでは違います。馬と牛でも違います。仮に4000種類の動物がいるとすると、3999種類の動物は自分のおかあさんのおっぱいでしか育っていません。

日本人も昭和20年まではおかあさんのおっぱいしか飲んでいませんでした。動物の牛のおっぱいを飲ませていたらおかしくなるのは当たり前です。

とくに生まれる前の胎児、離乳期前の子供たちをしっかり育てることが大切です。離乳食を飲む前はおっぱいしか飲みません。

ライオンにとってはライオンのおかあさんのおっぱいが完全栄養食品です。日本人の赤ちゃんには日本人のおかあさんのおっぱいが完全栄養食品です。

— 戦後、がんが増えていますが

真弓:厚生労働省が、1900年から統計をとっていますが、昭和20年までがんはほとんどありませんでした。昭和20年あたりから明らかに増えています。

昭和20年まで食べていたものは玄米です。玄米は芽が出ます。学校給食で玄米のところもありますが、ほとんどが白米です。

胚芽の栄養になるのは外皮の糠の部分です。糠がなかったら胚芽米から芽が出てきません。芽が出ないような白米をいくら食べても意味がありません。大多数の学校給食ではこうした芽が出ないような白米を食べさせています。

日本人に合わない物を食べていたら心がおかしくなります。食べ物を変え、心を変え、生活環境を変えることが大切です。

「三里四方の物を食すれば病せず」と昔の人は言ったものですが、一里というのは4キロですから12,3キロ圏内のものを食べればいいということです。まず自分の住んでいる土地の物を、自分で作って食べることが大切です。

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